レビュー  1965年06月17日  に発表された 

コレクター
The Collector

5ツ星

ストックホルム症候群の幻想

事件は唐突に起こる。そのため青年がどれほど美大生に執着しているか、さっぱりわからない。この「わからない」ことがポイント。暴力を振るわれず、期限が来られると、ほっと安心する。こうなると美大生ではなく、青年を応援したくなるから不思議なものだ。
奇妙な共同生活を経て、やがて2人は心を通わせるのではないか? ひょっとすると主従が逆転するかもしれない。「わからない」ことが、いずれ「わかる」ようになるはず。
なんて思っていたが、現実は厳しかった。異常者は異常者であり、「わからない」ことは「わからない」のだ。彼の孤独を理解したいと思ったが、それこそ不安がもたらす幻想に過ぎなかった。

青年は失敗から多くのことを学ぶだろう。理想の愛を手に入れるために。

これほどぬるい監禁もないが、これほど絶望的な物語もない。大金が転がり込まなければ、彼は平凡な人生を歩んだだろう。だれの心にも闇があって、解放の時を待っているのか。
鑑賞後に残った不安は、私を生涯、揺すりつづけるだろう。

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