レビュー  2012年09月06日  に発表された 

LOOPER/ルーパー
Looper

4ツ星

きみは、中国へ行くか?

タイムトラベルを題材にした作品の多くは「いかにタイムパラドックスを避けるか?」をテーマにするが、本作はパラドックスを取り込んだ点で興味深い。「運命は自分で変えられる」と言えば安直だが、その代償は大きい。どこで、なにを間違えたのか? 振り返って考えるとおもしろい。

一周目の主人公(ブルース・ウィリス)は、未来の自分を殺した金で、フランスじゃなく中国に渡った。願いどおりの人生のはずが、あまり幸福になれない。31年目に期待していなかったせいか、無防備のまま襲撃され、妻を失う。そこから奮起するわけだが、時すでに遅く、やればやるほど状況を悪化させている。また無関係な子どもを殺したことで、同情の余地がなくなった。

二周目の主人公(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は、中国へ行くのだろうか? 中国へ行くということは、他人の考えに従うということ。その先に幸福はない。ふたりの違いは年齢ではなく、選択を手放したかどうかだ。

ヤング・ジョーは中国に興味がないから、「中国女と出会わなければ殺されることはない」と提案する。しかしオールド・ジョーは、それしか価値ある思い出がないから拒否する。
その後、ヤング・ジョーがサラに惹かれていくと、オールド・ジョーの記憶も揺らいでいく。放っておけばオールド・ジョーの未練も断ち切れるはずが、これまた拒否。未来の自分を殺した経験を持つオールド・ジョーは、若い自分の未来を奪うことも気にしない。オールド・ジョーは自己中心的な敵になってしまった。

ヤング・ジョーは「未来は決まっている」と考えているから、サラの教育も失敗すると切り捨てていた。オールド・ジョーを消滅させても、サラが幸福になれる保証はない。それでも最後の決断は驚き。ゆずれない戦いの中で、ゆずるという選択は意表をついた。

映画として見ると、オールド・ジョーが中国に流れた心情や、中国女にこだわった理由をもう少し描いてほしかった。未来の自分を殺した男の虚しさ、愚かしさ、身勝手さは、本作のキモだったはず。いわんやヒーロー色が強いブルース・ウィリスが演じているのだから、この不足は致命的だった。

でもまぁ、おもしろかった。

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