創作  2011年10月13日(木)に書いた 妄想リメイク

[妄想] ALAN WAKE 追加シナリオ「目覚め」

[妄想] ALAN WAKE 追加シナリオ「目覚め」

物語を書いているのはだれだ──

まえがき

 Xbox360最高傑作と言われる『アラン・ウェイク』だが、私は大いに不満だった。
 ゲーム性はともかく、ストーリーが破綻している。あまつさえダウンロードコンテンツ、『シグナル』、『小説家』さえも尻切れトンボ。続編を作りたくてあえて結末をぼかしたにしても、これはないだろう。きちんと完結しない物語は好きになれない。
自分がすっきりするために、追加シナリオを考えてみた。どこに挿入しても、これで終わるだろう。

これまでのアラン・ウェイク

おれはアラン・ウェイク。全米に名の知れたベストセラー作家だが、この2年はスランプに悩まされていた。そんなおれを見かねて、妻アリスが休暇旅行を計画してくれた。訪れたのは風光明媚な田舎町、ブライト・フォールズ。おれたちは湖に浮かぶ小島のキャビンで数日を過ごすつもりだった。

ALAN WAKE
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到着した夜、竜巻によってキャビンが崩壊し、アリスは湖の穴に落ちてしまう。おれも湖に飛び込んだが、気を失ってしまった。

気がつくと、大破した車にいた。助けを求めて、夜の山道をさまよい歩く。すると小説の原稿を拾った。題名は「ディパーチャー」、著者はアラン・ウェイク? おれには書いた覚えがなかった。これから書こうと思っていた小説が、なぜ?

困惑するおれを、影をまとった男たちが襲う。それは、小説で描かれたシーンそのものだった。あの小説は未来を予知してるのか、書いたことが現実になるのか?

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闇人から逃れたおれは、保安官に保護される。キャビンを見てもらおうと案内するが、建物はおろか小島さえ消えていた。保安官の話では、湖の小島は1970年の火山噴火でなくなっているという。
おれは一週間分の記憶がなかった。アリスが消えてから一週間、おれはどこで、なにをしていたのか? そしてアリスは?
おれの探索がはじまった。

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アリスを誘拐したという男からの脅迫、何者かに操られたウェイトレス、アリスは妄想の産物だと惑わす精神科医、いきなり発砲するFBI捜査官......。誰もがあの原稿を求めている。おれを導いてくれるのは、1970年に死んだとされる小説家、トーマス・ゼインだけ。

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トーマス・ゼインこそは、この事件の元凶だった。湖に眠る《闇の力》はゼインの想像力を利用して、復活を果たそうとしていた。自力で脱出できなくなったゼインは、同じ能力を持った小説家──つまり、おれを呼び寄せた。
記憶のない一週間、おれは《闇の力》に囚われ、ゼインが中断した物語のつづきを書かされていた。しかしゼインの保険によって脱出できた。《闇の力》は、ゼインの妻だったバーバラの姿で追いすがる。おれはゼインに好意を寄せていたシンシアから、魔法のアイテムクリッカーを受け取った。

あとは物語を終わらせるだけ。書くんだ、ハッピーエンドを!

追加シナリオ「目覚め」

「アラン、起きろ」

目覚めると、バリーがいた。おれのことが心配になって、追いかけてきたという。バリーを巻き込んでしまったことは申し訳ないが、どことも知れない歪んだ世界で知己に会えたのは嬉しかった。
「重要なことに気づいたんだ!」

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バリーは語る。
「いいか、確認させてくれ。
 アリスは誘拐されたんじゃなくて、失踪したんだよな?」
「あぁ」
「それなのに、なぜ誘拐されたと思ったんだ?」
「それは......誘拐犯が脅迫してきたから......」
「でもそいつは、アリスの失踪とは関係なかった?」
「あぁ」
「誘拐犯が消えると、ウェイトレス、精神科医、FBI捜査官に追われるが、誰もアリスの行方を知らない?」
「あぁ」
「そりゃ出来すぎだ。まるっきり小説だぜ」
「そうなんだ。おれたちは物語の中にいる」
「ちがうよ。そうじゃない。
 ここはゼインの物語の中だが、トラブルを起こしているのは、おまえなんだ」
「なんだって?」
おまえがアリスの消失を信じたくないから、誘拐犯や精神科医という障害を作り出しているんだ。それでツジツマが合わなくなると、新たな要素を投入して場を混乱させる。連続ドラマじゃ、よくある手法さ」
「意味がわからない」
「いいか、アリスはなぜ失踪した?
 《闇の力》がアリスを隠したとして、いまも返さない理由はなんだ?
 アリスさえ戻れば、おまえは町を出たかもしれないし、言われるまま物語を書いたかもしれない。
 よく聞け、《闇の力》にはアリスを捕らえておくメリットがないんだ!
「なんだって、それじゃアリスはどこに?」
「ばか、答えを知ってるのはおまえだ!
 おまえが答えを知ろうとしないから......」

 そのとき、バリーは闇の竜巻に飲み込まれてしまった。
 あとに残された原稿には、こう記されていた。

「バリーは真実を語る前に、竜巻に飲み込まれてしまった」

「おれが真実にたどり着けないのは、
 おれが真実から目を背けているから?」

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「そのとおりだよ」
背後から声がした。ハートマン医師だった。今は影をまとった闇人になっている。
「落ち着いて、話を聞いてくれ。
 この世界を守りたいだけなんだ。それは、きみのためでもある」

ハートマン医師の背後には、町で出会った人たちが並んでいた。みな影をまとっている。闇に飲み込まれた人たちだが、襲ってこない。ハートマン医師は語る。
「アラン・ウェイク。私たちがきみを襲う理由がわかるか?
 きみに、物語の結末を書かせないためだ。
 《闇の力》は自分が望むように書かせたいようだが、私たちは違う。結末を書かせたくない。物語が終わってしまったら、私たちは消えてしまうからだ
 私は一時期、きみと組んで都合のいい世界を創ろうと考えたが、いまはちがう。
 いまはただ消えたくない。消えたくないんだ!」

闇人たちが呻いている。彼らは、おれを恐れていた。

「わかっているのか?
 物語が完結したら、きみも消えてしまうぞ。
 アラン・ウェイクは、物語の登場人物なんだ
「おれが?
 おれは実在する人間だ。この町には休暇で来ただけだ」
「きみは、この町に着いたときに発生したんだ。
 ニューヨークでの記憶も、アリスが必要に応じて書き加えたものだ。
 きみは小説家だと言うが、1文字も書いてない。
 書けなくなったんじゃない。最初から書いたことがないんだ!
「!」

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ハートマン医師はつづける。
「もう知ってるだろう?
 トーマス・ゼインは、アリス・ウェイクのペンネームだ
「なんだって?」
「本当の小説家はアリスなんだ。彼女は《闇の力》に呼応してしまい、自力で脱出できなくなった。だからきみを創ったんだ。自分を女神と崇め、救ってくれる存在を。
 アラン、きみは実在しない。
 アリスが目覚めたら、きみも消えてしまうんだ!」
「ありえない!」
「アリスには、このまま夢を見ていてほしい。
 クリッカーで《闇の力》が撃退されたいま、アリスを目覚めさせるわけにはいかない。
 アラン、きみはきみのままでいい。
 永遠にアリスを追い続けるんだ。
 本編はもちろん、ダウンロードコンテンツ2本でも完結しない。
 いつまでも物語はつづく。
 終わりがないんじゃない。永遠なんだ!

町の人々がにじり寄る。おれを捕らえるつもりか? だがここで戦えば、また果てしない追いかけっこがはじまる。謎が謎を呼び、永遠にアリスに到達しない。いやだ。おれは逃げない。おれの答えは決まっている。

「アリスはおれの女神だ!」

おれはピリオドを打った。

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「アリス、起きて」

目覚めると病院のベッドだった。声をかけてきたのは私のエージェント・バリー。
私はアリス・ウェイク。小説家だけど、そんなに売れてない。スランプになった私はニューヨークを離れ、生まれ故郷のブライト・フォールズに戻ってきた。そして小島のキャビンで新作を書いていると噴火に巻き込まれ、湖を漂流しているところを救助された。頭を強打した私は、一週間も眠りつづけたようだ。

たくさんの人が見舞いに来てくれた。その中には私の継母バーバラもいた。私はバーバラが嫌いだったけど、数十年ぶりにあった彼女はとても弱々しかった。悪魔の化身のように思っていたけど、彼女も人間だった。
しかし「彼」は来なかった。「彼」は私の想像の産物だから。

手になにか握っていた。クリッカーだ。クリッカーは想像の産物であって、実在しないはず!
「これは?」
「あぁ、あいつだよ。ミスタースクラッチ
 これがあれば闇に呑まれないって、眠っているきみに握らせたんだ。
 さっき連絡があったから、もうすぐ着くころだよ」
そのとき、ドアが開いて、彼が入ってきた。
「アリス!」
「アラン!」
2人は互いを強く抱きしめた。

おわり

つまり、夢オチだ。支離滅裂な点が多くて、整合性を保つにはこれしかない。『アラン・ウェイク』は海外ドラマの演出技法を取り入れたのはいいけど、その悪いところも倣ってしまった。つまり、終わりがない。ドラマはそれでいいけど、ゲームではよくないと思う。

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