持ち家ドリーム

2007年 政治・経済 住まい
持ち家ドリーム

持ち家なんて、はかないものだ。

最近、ちょくちょく実家に帰るようになった。私の実家は千葉の埋め立て地にある。土地付き一戸建てで、築26年。26年も経つと、家ってのはだいぶくたびれるんだね。床がギシギシ鳴ったり、傾いたりと、老朽化に驚かされる。まぁ、実家を出てから14年が経過しているので、そりゃ古くもなるだろうけどさ。

親父が家を買ったのは35歳。今の私より若かったときだ。ローンは完済しているが、上もの(建物)にはもう価値はない。あと20年住むなら、近いうちに建て替えしなければならないだろう。
……なんとなく虚しい気分だ。

26年前のわが家はサイコーだった。部屋も、風呂も、トイレも、キッチンも最新式だった。当時小学生だった私は、ピカピカの新居にひどく興奮したのを覚えている。その後、ちょこまか増築や修繕を繰り返してきたが、さすがに古さは隠せなくなった。

ということは、いま最新式の家もやがては古くなるんだろうな。オートロック、電化キッチン、ディスポーザ、ワイド浴槽といった設備もそのうち古くなる。数年後にはもっと魅力的な設備が登場するが、対応できなくなる。それは避けられないことだ。

だから家を買うのは無駄だ、というわけじゃない。パソコンも待てば待つほど高性能で安い機種が出てくるが、とにかく買わなきゃ始まらない。買ったものが古くなるのは当たり前で、むしろ生活とともに古くなること(劣化を防ぐため努力すること)が、見えざる価値なのかもしれない。

……ただ、虚しいなぁ、と思う。

私の弟も家を買ったので、なんで家を買ったのか訊いてみた。
「だって、自分の家がほしかったから」
私は二の句を継げなかった。