年金は「あなたの知らない世界」

5,000万件の年金が該当者不明になっている。

「大変なことになってるな～」と他人事のように見ていたが、他人事じゃなかった。
私自身の年金にも、未納扱いがあった。

わが家は大丈夫、と思ってました

私は転職を繰り返してきたので、このあたりのチェックは細かい。年金問題がクローズアップされる以前に、私たちは社会保険事務所を訪れ、年金記録の照合を行っている。そのときは年金記録に不明点はなかった。
ところが6月に、母親からこう指摘された。
「あんたの年金は20歳から払ってるけど、記録されてる？」

本人が知らない年金納付

ギョッとしたね。
自分(や会社)が払った年金はチェックしたが、両親が払った年金はノーチェックだった。というか、その存在すら知らなかった。
1991年に法律が変わって、20歳になったら学生だろうが無職だろうが、強制的に年金を払うことになった。その1991年に、私は成人した。当時の私に支払い能力はなかったから、両親が代わりに払ってくれた。

年金記録を見てみたら、その期間は「*」で埋まってる。
1991年4月から1995年4月までの48ヶ月間が未納扱いにされていた。
なんてこった！　まさか自分が5,000万件の1つになっているとは...。

まずはネットで確認したかったが...

両親が払ってくれた年金を無駄にはできない。
さっそく社会保険事務所へ行こうと思ったが、超混雑で機能してないという。ネットの照会サービスがはじまるので、そちらに申し込むことにした。

• 年金個人情報提供サービス

このサービス、利用開始まで2週間かかる。オンラインサインアップのご時世に、呑気なもんだ。7月17日に申し込んで、IDが届いたのは8月8日。22日後だ。
......社会保険庁の2週間は長すぎる。

年金記録確認の出張相談

馬鹿らしくなったので、市役所の「年金記録確認の出張相談」に行くことにした。
8月2日、市役所の会議室に集まった人は多くなかった。待ち時間も10分ほど。私たちは市の情報誌で知ったけど、それ以外に告知してなかったのではあるまいか？

さておき、職員に照会してもらったところ、あっけなく未納は解決した。これで支払いの証拠を集めたり、第三者機関に相談しなくても済んだ。ひと安心である。

統合されてなかった

なにが原因だったのか？
1997年(25歳)、基礎年金番号が導入されて、国民年金、厚生年金、共済年金の年金番号は１つに統合された。しかし、じつは統合されていなかったのだ。
私の場合、年金遍歴はこうなる。

A.国民年金(親)　→　B.厚生年金(会社)　→　C.国民年金(自分)

BとCは基礎年金番号に統合されたが、それ以前のAは抜け落ちた。しかし昔の年金番号で照会したところ、記録が出てきたので、ABCを統合することができた。
つまり、B→C(転職)は関係ない。
A→B(就職)によって抜け落ちたのだから、誰にでも起こりうる。

基礎年金番号の統合は社会保険庁の仕事だと思っていたけど、どうやら被保険者の申告で進めていたようだ。私の場合、たまたま古い(統合前の)年金手帳を保管していたから照会できたけど、もしなかったら、どうなっていただろう？

正直者が馬鹿を見るのか？

1991年に年金が強制加入になったことを知らない家も多い。
私の友人宅では気づかず、納付しなかったそうだ。振り返ると、私の両親はよく気づき、よく対応できたものだと思う。
今回の統合不備は、そんな正直者を裏切る行為である。どうせ未納扱いになるなら、払わない方がよかったし、払っていなければ照会に手間取ることもなかった。本当に馬鹿馬鹿しい。

あなたの知らない世界

4月に親父が亡くなって、資産目録を作ることになった。そのとき、たまたま母親が思い出してくれたので、自分の未納問題が発覚した。変な話だが、親父の死がなければ、まったく気づかなかっただろう。
年金には、「あなたの知らない世界」がある。

学校で教えてくれよ

年金の請求書には、ただ払えと書いてあるだけで、「就職したら、こういう手続きをしなさい」とか「○×になると、資格を失いますよ」といった案内はまったくない。

年金の仕組みとか、手続きの重要性は大人になってから学ぶのに、徴収は20歳からと早い(しかも強制)。そんな早く徴収したいなら、学校の授業で教えてほしいね。高校に行かない人もいるから、中学で教えるべきだ。
先生に、「年金は重要だけど、政府はアテにならないし、ルールもちょくちょく変わるから、みんな政府公報をよく読んで、頻繁に社会保険事務所で照会しなさい」と教わっていれば、問題の回避はできずとも、早期発見できただろうな。

◎

この問題で、年金を払うのは無意味とか、民主党に票を入れようと言うつもりはない。
ただ、年金の確認はしておいた方がいいですよ。

宙に浮いた保険料は2兆3500億
https://news.mixi.jp/view_news.pl?id=312378&media_id=2