トランプ大統領への期待と不安
2016年 政治・経済 政治 時事ネタ
トランプ氏が第45代アメリカ大統領に当選した。
私が知るかぎり、これほどメディアに嫌悪された候補者はいない──。いや、嫌悪されたまま当選した候補者はいない。選挙が民意の反映なら、メディアは民意を読み違えたことになる。あるいはメディアは、民意を誘導しそこねたわけだ。
池上彰氏の解説によれば、「米国民が中央政府を信用していない」ため、長年政府の中枢にいたヒラリー氏は警戒されたという。そんな理屈ならもっと早い段階からトランプ氏優位が伝えられるし、ヒラリー氏も下野するなどの対策をしたはず。これも言い換えれば、米国民はメディアを信用しておらず、メディアが優位と伝える(メディアが勝たせたい)ヒラリー氏を警戒したことになる。
ヒラリー氏の敗北は、すなわちメディアの敗北であろう。メディアは「民意はこうあるべき」という報道をやめないと、政治家にも警戒されるだろう。
さて、デーモン小暮閣下がテレビで、こんなコメントを述べたらしい。
「今までの政治が嫌だからってトランプに投票するの、前に日本で自民党が嫌だからって民主党政権になったときと似てるよね。あのあとの日本みたいにならないといいけど」
未来のことはわからないが、民主党政権はメディアが煽りに煽りまくって誕生した。国民も万雷の拍手で迎えた。オバマ大統領が当選したときもそうだった。「いまの政治をぶっ壊したい」という動機は同じでも、手法は異なる。結果がどうなるかわからないが。
そしてトランプ氏の公約は下記の通り。
- 中国・日本を始めとするすべての輸入品に対して20%の関税をかける。
- 大統領選に勝利・就任初日に、中国を「為替操作国」に認定する。
- 中国のハッカーや模造品に対して規制を強化。
- 中国からの輸入品には45%の関税。
- 中国の冒険主義を思いとどまらせるために、東シナ海と南シナ海での米軍の存在感を高める。
- 米国・ロシア間の協力を増やす。
- メキシコ国境では35%の輸入税を課す。
- メキシコとの国境に万里の長城を築き、不法移民を認めない。
- 不法滞在者のメキシコ送金は押収し、メキシコ人の労働ビザや越境手数料を引き上げる。
- イスラム教徒は入国させない。
- シリア難民は受け入れない。
- イスラム国はやっつける。資金源である石油を爆撃。
- 尋問について、米国法で禁じられている水責めなどの方法を支持。
- 医療目的でのマリファナ合法化を許可する。
- 連邦政府の支出の無駄を削る。
- 米軍の規模と能力を拡充する。
- 日本へは米軍による防衛費を要求する。年5,830億円全額だ。
- もちろん韓国も一緒だ。
- TPP(環太平洋経済連携協定)はゴミ箱へ放り込む。
- 法人税の最高税率を35%から15%に引き下げ。
- 年収2万5千ドル未満の単身世帯と年収5万ドル未満の夫婦世帯は所得税を免除する。
- 税制簡素化、及び減税(但し、富裕層は増税)。
- 相続税は排除。
- 金持ちだけが利用できる税の抜け道を潰していく。
トランプ氏が大統領になっても「社会は大きく変わらない」、トランプ氏は「なにもできない」「なにもする気がない」というのが、メディアの予想だった。しかしこれらも、トランプ氏を落選させるための誘導だった可能性もあるわけで、未来がどうなるかは、ほんとうにわからない。
トランプ氏がなにをしても、しなくても、メディアは否定するだろう。メディアは信頼を取り戻したいから、「トランプ氏を選んで失敗だった」と思わせる報道をするはずだ。あらゆる行為が否定されることが確定した状況で、トランプ大統領がどう行動し、なにを成し遂げるか? 私はワクワクしている。