ジェラルドのゲーム Gerald's Game

2017年 外国映画 3ツ星 密室 記憶操作 @S.キング

見せ方、うまい。

SMプレイ中、夫が心臓発作で死亡。妻は手錠につながれたまま放置。周囲に住人はおらず、訪ねてくる人もいない。手錠は金属製で、支柱も補強してある。肉の味をおぼえた犬が、夫の遺体を食べはじめる。このままでは自分も餓死して、犬に食われてしまう。

人類の67%くらいが考えた恐怖を描いた作品。主人公が動けないので、単調な映画になると思いきや、イマジナリの夫と自分が口論するという、驚きの展開。すげぇ。

中盤で、12歳のころ父親にされたセクハラと、口封じのトラウマを思い出す。この回想をヒントに、妻は右手を犠牲に脱出する決意をする。まぁ、そうするしかないとわかっていても、なかなか実行できない。
脱出方法は単純だったが、そこに至る過程をここまでおもしろく描くとは。さすがスティーヴン・キング。

問題はここから。墓荒らしは実在し、結婚指輪を渡すことで難を逃れた。あれ? 結婚指輪がなくなる話をしたのは中盤だぞ。イマジナリはこの展開を予見していたの?
墓荒らしはのちに逮捕され、妻は裁判所で「思ったほど大きくなかった」と言い放つ。あれ? 墓荒らしは彼女のトラウマと関係ないじゃん。

父親のセクハラは本当にあったのか? 母親は、娘が父親を見る目を気にしていた。娘は父親を警戒せず、ふたりきりで家に残った。口封じで信頼が崩れても、成長した彼女は「父親のような男性」と結婚した。ほんとうにトラウマだったのか?

まぁ、過去は本題ではない。セクハラに苦しむ少女を救うための活動も、好きにすればいい。しかし墓荒らしの存在はわからない。なにか意味があるのだろうか? それとも意外性を演出するだけの、無意味な怪人?

こーゆー割り切れないところも、スティーヴン・キングらしい。

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