ナイトメア・オブ・サンタクロース Sint / Saint

2010年 外国映画 3ツ星 モンスター:ゾンビ

強い! 速い! わけがわからない!

血まみれのサンタクロースが襲ってくるホラーコメディと思っていたが、「23年周期で聖ニコラスの亡霊が復活して、人々を虐殺してまわる」という本気のダークファンタジーだった。
法衣をまとい、馬で屋根を疾駆し、錫杖で首を切り落とす聖ニコラスは、並外れて凶悪なモンスターだ。聖ニコラスといえば、サンタクロースの起源として知られる聖人で、キリスト教のすべての教派で崇拝されている。そんな聖人をモンスターにしちゃっていいんだろうか? オランダ人はおおらかだ。

展開が速いので、最後まで飽きさせない。しかしストーリーはわからない。「23年周期で聖ニコラスの亡霊が復活して、人々を虐殺してまわる」という基本情報がはっきり言及されないため、なにが起こっているのかわからないからだ。状況がわからないのはリアルだが、目の前の危機に対応するだけじゃ飽きる。
しかも聖ニコラスの正体は明かされない。たぶん制作者も深いことは考えていないだろう。設定や物語なんかどうでもよくて、ひたすらパワーで押しまくる。久しくなかった直球ホラーだ。釈然としないが、鮮烈だった。

300名もの犠牲者が出たが、政府は聖ニコラスの脅威を隠蔽してしまった。これが最後ならともかく、23年おきに繰り返すことがわかって隠蔽するのはよくないだろう。政府の態度はモンスターより厄介で、怖いかもしれない。

オランダ映画を見るのは初めてだが、オランダ人はこういう映画が好きなのか。いや、日本のB級ホラーで日本人の気質を類推してほしくないけどね。

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