必殺4 恨みはらします Sure Death 4: Revenge

1987年 日本映画 3ツ星 #必殺 時代劇

「そーゆーの、アリかよ!」

相変わらず内容がわからないタイトル。「主水、賄賂をもらう」あたりでどうだろう?
はてさて本作の見所は、妖艶な奉行・奥田右京亮(真田広之)の存在感。主水の正体に気づきながらも、泳がせておく度量がたまらない。馬の上でこれだけしゃべれる役者も少ない。右京亮は忍者のような小姓をはべらせており、仕事人たちと全面対決になる。その攻防は計算されており、防戦一方だった主水が秀の助けで盛り返し、思いもよらない方法で決着を迎える。インチキといえばインチキだが、リアルといえばリアル。私は好きだね。仕事人らしい。
右京亮の暴虐の背景に、屈折した復讐心があったのはおもしろい。今作かぎりで退場とはもったいない。逃げ延びて、眼帯とかつけて、双子との兄とか言って再登場してほしかった。

もう1つの軸は、右京亮の配下である九蔵(蟹江敬三)と、仕事人・わらべや文七(千葉真一)の対決。廃墟と化した長屋を縦横無尽に駆け回ってのチャンバラは、『将軍家光の乱心 激突』(1989)のプロトタイプのようだ。かっこいいけど、これは時代劇。仕事人らしくない。

本作の中村主水は、奉行所の失態を一方的に責任転嫁されたり、その腹いせに長屋で浮気するなど、かっこわるい描写がつづく。「旗本愚連隊の首領三人、六両」という安い仕事を引き受けた理由もよくわからないし、その後の行動も行き当たりばったり。ただ、右京亮にもらった一両の使い方はよかった。

チャンバラに勢いのある一本だった。

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