破裏拳ポリマー (実写映画) Hurricane Polymar
2017年 特撮 2ツ星 カンフー ヒーロー 変身 探偵 @タツノコプロ映画を作る姿勢がダサい。
制作サイドの事情は知らない。マーベルのように、昔のヒーローを実写リブートすればヒットすると思ったのだろうか? 『ヤッターマン 実写版』(2009)は成功したが、『ガッチャマン』(2013)は爆散した。それらの教訓を踏まえた挑戦と思っていたが、まるで駄目だった。
主人公・鎧武士が強そうに見えない。探偵でありながら賄賂を要求し、信用できない。事情を説明せず依頼する警察も、それを引き受ける武士も不可解。動機は亡き父への思慕で、姪の養育費を払っていたそうだが、だとしても信義則違反は駄目だ。終盤でいきなり知性を発揮するが、稗田玲を疑うタイミングが早すぎる。
南波テルの唇アップ演出は実写に不向き。テルはじめ、不良少女も足技を使うため、この世界における格闘技の位置づけがわからない。不良グループが武器を乱射するが、あんな知能なら囲んで棒で叩けるだろう。
最初のポリマースーツは肌が露出している。フォースフィールドのようなものはない。しかも分割装着しているらしい。そんなんでスーツとして機能するはずがない。肌を隠すだけで説得力が増すのに、筋肉を見せたい欲求をコントロールできなかったようだ。
車錠を来間譲一とし、警察に変えたのはいいが、やはり人格が惰弱。「銃を撃てないやさしさ」を発揮する場面じゃないだろうに。最後は憎しみで、無抵抗の犯人を撃とうとする。コイツはただのガンシャイで、やさしいわけじゃない。
原作アニメでも名前しかなかった特殊な拳法「破裏拳流」を、実写映画のため設定しなおしたそうだが、前述のとおり不良少女もハイキックを使う世界観においては、まったく個性がない。「一撃必殺だが、使用者にも骨折や内臓破裂など甚大な負ってしまう拳法。ポリマーシステムの開発によって連続使用できるようになった。」といえば、人間には無茶な動きにも説得力がつくだろう。
システムはヘルメット、グローブ、シューズに分解されるが、グローブとシューズを装着するシーンはなく、設定が活かされてない。腹を蹴られて血を吐くのは深刻なダメージの演出だが、すぐ平然としてしまう。同じシーンの使い回しが多い。正義と正義の対立がテーマなら、ラスボスも「この世に悪のある限り 正義の怒りが俺を呼ぶ!」を言えばいいのに。主題歌アレンジがかかって見せ場になったら、すぐ終わった。
ダサかった。
映画を作る姿勢がダサかった。
タツノコプロ:破裏拳ポリマー
- 1974 破裏拳ポリマー (全26話) ... ポリメットで転身!
- 1996 新破裏拳ポリマー (全2話) ... SFに生まれ変わったが、惜しくも打ち切り。
- 2017 破裏拳ポリマー (実写映画) ... 映画を作る姿勢がダサい。