ブラックアウト2022 (15分) / ブレードランナー2049 より BLACK OUT 2022 / BLADE RUNNER

2017年 外国映画 3ツ星 SF SF:新人類 テロ ロボット:自律型 短編映画 @P.K.ディック

いい仕事してる。

ストーリー

2022年(映画の27年前)──。
レプリカントたちは自由を得るため、高高度核爆発のEMP攻撃による都市機能停止(ブラックアウト)を起こした。

オリジナル『ブレードランナー』に敬意を払いつつ、『ブレードランナー2049』につながる経緯を端的に、叙情的に説明している。日本のアニメ監督に期待される美少女、メカ、アクションをきっちり表現。空白の30年を埋める3本の短編映画のうち、もっともいい仕事をしている。

戦闘用レプリカント:イギー

レプリカント同士の戦争にうんざりして、革命に参加した。スター・ウォーズの『クローン・ウォーズ』を彷彿させる設定だ。ブレードランナーの世界線で、戦争する余裕があるとは思えないが。
イギーはトリクシーが撃たれても助けず、そのまま任務を続行した。ちゃっかり生き残って、片目をえぐって潜伏したようだ。情に流されないところがかっこいい。『2049』本編に登場してほしかった。

慰安用レプリカント:トリクシー

終始アンニュイな佇まいで、詳細不明。天国がどうのとつぶやくのは本心なのか、慰安用のプログラムなのか。レンを籠絡した時点で任務は終わっているが、イギーの突入に同行した。生存するつもりはなかったのだろう。
身体能力の高さ、やたら目を引くアクションは、プリスを彷彿させる。白い鳩に気を取られ、ガラスの破片に倒れ、羽とともに息絶えるのは、じつにブレードランナーらしい。
レプリカントが慰安用でもこれほどの戦闘力をもつなら、人間の警備員では対処できない。「人間至上主義」の影響でレプリカント警備員が解任されたあとなら、仕事を得た人間たちもあわれ。

人間の協力者:レン

トリクシーがレプリカントであり、歴史に残る大惨事になると知りながら協力した人間の裏切り者。なにがそこまで彼を絶望させたのか。むろん、だから社会が悪いとは思わないが、そのあたりもドラマを作れそうだ。

捜査官ガフ

レプリカントの解任を命じられたが、危険が予想されるため敬遠する。デッカードを逃さなければよかったと呟いた。
オリジナルで同役のエドワード・ジェームズ・オルモスが声は演じた。本編『2049』にもチラリと登場したが、ファンサービス以上の意味はなかった。オリジナル公開後、「本当のブレードランナーはガフで、デッカードは危険な任務を受け持つレプリカントだった」という解釈もあったが、それを補強するセリフではなかった。ガフはレプリカントを解任したことがあるんだろうか? もちっと出番がほしかった。

「人間至上主義」運動

ロボットSFではよくある設定だが、実行すると社会が成り立たなくなる。ブラックアウトによってレプリカントへの嫌悪は強まったわけだが、本編『2049』の社会認識はどうなっているんだろう?

『アニマトリックス』のような短編集で、いろんな角度から描いてほしい。

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