いぬやしき (全11話) Inuyashiki

3ツ星

SFじゃないよ。

　神の力を手に入れた老人と若者の対立を描いているが、たまたまそうなっただけで、途中で入れ替わっても成立する。犬屋敷と獅子神もふつうの人間であり、善でも悪でもない。

　「ふつうの人間に極端なことをやらせる」ところが本作の魅力である。気まぐれな宇宙人とか、途方もないサイボーグ技術は主題じゃない。むしろ老醜や若気の至りが大事。なので警察や政府の対応がずさんとか、社会の反応がにぶいとか、言っても仕方ない。童話であって、SFじゃない。

　おもしろかった？　と問われると微妙。
　ミラクルパワーが人間を吹き飛ばすところは、対象がヤクザであれ警察官であれ、痛快だった。行き当たりばったりで、先の展開も読めなかった。
　見てるあいだはまちがいなくおもしろかった。