等価交換を超えて!
感心するのは、エドがただ強いだけの天才・無敵少年ではなく、死を恐れたり、こっぴどく敗北するところ。そのたびに強く立ち上がる姿には、あこがれを感じてしまう。また、派手な錬金術師ばかりでなく、幸福なヒューイ夫妻、やさしいロス少尉、イズミとシグの熱愛などを描くことで、世界観を確かなものにしている。こうした描写があればこそ、非日常性がきわだつ。
あとで知ったことだが、アニメ版は途中からオリジナル展開なんだってね。原作マンガは読んでないけど、アニメはアニメでよくやったと思う。もちろん首をひねる部分や、物足りない部分はあるが、毎週ペースのTVアニメで描ききったことを考慮すると絶賛できる。
印象的なエピソードを挙げておこう。
- 第8話『賢者の石』 ... 殺人鬼バリーに恐怖するエド。彼は決して無敵ではない。
- 第20話『守護者の魂』 ... アルは兄の記憶を焼き付けた虚像なのか?
- 第21話『紅い輝き』 ... 己を恥じて自殺するのは、人間の証明か。
- 第34話『強欲の理論』 ... 硬直したグリードの死に様が心に焼き付く。
- 第44話『光のホーエンハイム』 ... なんでも知ってる父さん、かっこいい!
ダンテは魅力的なキャラだった。永遠のいのちがあっても、望むものは愛なのか。その単純さが、ぞっとするほどリアルだ。
そして彼女は、エドの信念であり、信仰でもあった等価交換の原則を、「弱者が自分を慰める言い訳」と一蹴する。世界は不完全で、不公平なもの。たとえそれが揺るぎない現実であっても、なお認めないことで前に進めるのか。
大人になること、運命を受け入れること、強くなること。
久々に見応えのあるTVアニメシリーズだった。





