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[レビュー2003年10月04日に発表された 

鋼の錬金術師 (2003年版/全51話)

FULLMETAL ALCHEMIST

等価交換を超えて!

人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない。
何かを得るためには同等の代価が必要になる。
それが、錬金術における等価交換の原則だ。
その頃僕らは、それが世界の真実だと信じていた。

感心するのは、エドが強いだけの天才少年ではなく、死を恐れたり、こっぴどく敗北するところ。それでも立ち上がり、向かっていく姿はかっこいい。また派手な魔法戦闘ばかりでなく、幸福なヒューイ夫妻や優しいロス少尉、イズミとシグの熱愛といった日常の描き方もうまい。ただのバトル漫画じゃない。

あとで知ったことだが、アニメ版は途中からオリジナル展開なんだってね。原作マンガは読んでないけど、アニメはアニメでよくやったと思う。もちろん首をひねる部分や、物足りない部分はあるが、毎週ペースのテレビアニメで描ききったことを考慮すると絶賛できる。印象的なエピソードを挙げておこう。

  • 08. 賢者の石 ... 殺人鬼バリーに恐怖するエド。彼は決して無敵ではない。
  • 20. 守護者の魂 ... アルは兄の記憶を焼き付けた虚像なのか?
  • 21. 紅い輝き ... 己を恥じて自殺するのは、人間の証明か。
  • 34. 強欲の理論 ... 硬直したグリードの死に様が心に焼き付く。
  • 44. 光のホーエンハイム ... なんでも知ってる父さん、かっこいい!

ダンテは魅力的なキャラだった。永遠のいのちがあっても、望むものは愛なのか。その単純さが、ぞっとするほどリアル。ダンテはエドの信仰でもあった等価交換の原則を、「弱者が自分を慰める言い訳」と一蹴する。世界は不完全で、不公平なもの。それが否定できない現実であったとしても、なお否定して、自分のやり方を押し通す。
大人になること、運命を受け入れること、強くなること。

久々に見応えのあるテレビアニメだった。


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