レビュー  1978年04月08日  に発表された 

死刑台の美女 / 江戸川乱歩の美女シリーズ#03 『悪魔の紋章』より
Shikeidai no Bijo / Edogawa Ranpo no Bijo Series

3ツ星

トリックは明らかだが、展開が読めない

これも記憶にあるエピソード。振り子(Pendulum)におびえたり、磔にされる美女のイメージが、がっつり脳に焼き付いた。放送当時は7歳だったから、見たのは再放送かもしれない。振り返れば、「江戸川乱歩の美女シリーズ」に受けた影響は大きかった。やばいねぇ。

あらすじ

明智小五郎は、犯罪研究の権威・宗方隆一郎(伊吹吾郎)の依頼を受けて、論文発表のため香港に飛んだ。そのころ、実業家の川手庄太郎と3人の娘は脅迫を受けていたが、明智は不在になるため、宗方が代理で警護することになる。
しかし雪子、春子は殺され、死体を辱められる。川手氏の腹違いの妹・北園竜子とその愛人・須藤が容疑者となる、現場に残された特殊な指紋(三重渦状紋)と合致しない。
宗方は川手親子を伊豆の山荘に匿うが、その夜、覆面の男女に襲われる。彼らは、強盗殺人犯だった川手の父に両親を殺された兄妹だった。川手の父は獄死したため、30年かけて息子と孫娘たちを根絶やしにするつもりなのだ。警察も犯人の意図を察知する。
一方、竜子は疑われることを恐れ、三重渦状紋のある自分の指を切り落とすが、須藤に殺される。また須藤が罪を認める遺書をのこして自殺したことから、事件は終わったと思われたが...

[真相]

川手親子が救出されるが、2人組が病院に侵入し、川手氏を殺害、民子を連れ去ってしまう。2人組は民子と尾行してきた文代を、処刑台にかけて殺害する。
そこに明智があらわれ、宗方夫婦こそ川手の父に両親を殺された兄妹と指摘。殺したはずの川手親子と文代は、すでに明智に救い出されていた。
追い詰められた宗方は明智を射殺しようとするが、明智に惚れた京子に撃たれる。京子も自分を撃って息絶えるのだった。

宗方(伊吹吾郎)が犯人であることは、登場した瞬間からバレバレ。だのに周囲は気づかないから、ヤキモキする。明智はいつ宗方の正体を見破り、どのような罠を仕掛けるのか? 犯人がわかっているのに、これほど興奮するミステリーも珍しい。いや、後半は犯人視点で進行するから、サスペンスに分類すべきだろうな。

明智は、宗方しか知らない伊豆の別荘で川手親子が襲われたことが決定打だったと言う。たしかに明確な証拠はそれだけだった。宗方は、疑わしい行動をしても疑われないキャラクターと思い込んでいたよ。
しかし犯罪学の権威であり、30年も復讐の準備をしてきた男が、そんな初歩的なミスを犯すかねぇ? まったく予想外だよ。三重渦状紋をわざとらしく使ったのは、美学ゆえ。明智を香港に追いやったのは、ただの一時しのぎ。民子だけ処刑台で殺すことにも、特別な意味はない。宗方の行動は支離滅裂で、常人の予想を超えているよ。

そういえば冒頭、明智と宗方はこんな会話をしていた。明智が犯罪の防止に興味があるとは思えないが、まぁ、今回は3人の被害を食い止めてるわけで、ウソはなかった。

明「しかし、ぼくは処刑には興味が無いんだ」
宗「犯罪は美学であり、芸術だというのが、きみの持論じゃなかったのかね?」
明「犯罪心理を研究するのは、犯罪を防止するためだ。
  計画的犯罪は多かれ少なかれ、犯人の芸術的センスが働いている。
  その犯人を追求する探偵は、
  それ以上に芸術的じゃなくちゃいかんからね」
宗「つまり明智小五郎は、芸術的探偵ってわけだ」
明「はっはっは」

江戸川乱歩の美女シリーズに、常識は通用しない。そのことを思い知らされる1本だった。

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死刑台の美女 / 江戸川乱歩の美女シリーズ#03 『悪魔の紋章』より