ネットのデマ、メディアの煽り

2011年 社会 ネット社会 新聞 災害
ネットのデマ、メディアの煽り

 東日本大震災で、改めてネットの強さがわかった。

 と言うと、「ネットにはデマがある」 と反論されそうだが、新聞や雑誌、テレビにもウソや偏向はある。テレビが悲劇探しに躍起になり、新聞や雑誌が不安をあおる論調になったことは事実。食品から放射線が検出された件でも、科学的な情報を正しく伝えられたとは言い難い。
 刺激的なものを載せれば売れるのだから、そりゃ、ギリギリまでやるだろう。やり過ぎて謝罪することになっても、売れればオッケーの経営方針は揺るがない。

 ネットのデマは広がるのも早いが、収束も早い。熱心にデマを流す人より、デマを監視し、撲滅する人の方が多いようだ。「だからネットは信用できる」とは言わないが、情報源としては既存メディアより頼りになる。
 たとえば、計画停電を知らせるとき、新聞はあまりに遅く、テレビは垂れ流すだけで、雑誌は偏っている。多くの人がネットで検索しただろうし、そうしたニーズに応えるサービスもすぐ開発・提供された。レスポンスの速さは桁違いだ。

 このたびの震災で、さまざまな自治体や組織がTwitterアカウントをオープンした。陸上自衛隊(@JGSDF_pr)も開設したので、さっそくフォロー。被災地での捜索や救援活動の写真が発信されている。自衛隊の活躍はなかなか伝わらないので、興味深い。
 海外からやってきた救助隊の活躍も、ぜんぜんテレビに流れない。Twitterアカウントがあれば、その活躍を多くの日本人に伝えられたのに。
 これまでの情報発信は、メディアに主導権を握られていた。取材を受けても、どこを強調して、どこを隠すかは、メディアの胸算用で決められる。しかしネットを使えば、ダイレクトに発信して、ダイレクトに訂正できるのだ。

 ネットの可能性は以前と変わらないが、今回の震災で多くの人が気づいたようだ。
 なにか時代が大きく動き出すスイッチが入ったような気がする。