パラダイムシフトの憂鬱 / ギリシャで24時間ゼネスト

2011年 政治・経済 海外
パラダイムシフトの憂鬱 / ギリシャで24時間ゼネスト

ギリシャについて考えてみた。

1日、ギリシャで大規模なゼネストがあった。ゼネラル・ストライキ(general strike)とは、全国的な規模で行われるストライキのこと。今年7回目、新政権では初のゼネストである。
スト当日は自治体、公立学校、裁判所などが閉鎖。公立病院は緊急スタッフのみで運営。公共交通機関は鉄道やフェリーが全面運休したほか、バスなどは時限ストを打ち、市民や観光客の足に影響が出た。

このストで、なにがどう解決するだろう?

ギリシャ政府が進める緊縮策に反対なのはわかる。しかし首都機能が麻痺したことで、観光産業は大打撃を受けた。ギリシャ国民は銀行に見切りを付け、預金を引き出しはじめた。そんな様子を見て、諸外国は追加支援に疑問を抱く。
こんな調子でギリシャが復活するとは思えない。
つまるところ病人が暴れて死期を早めているだけじゃないのか?

ゼネストに反対する国民もいるだろうが、国民全体が一丸となって実行するストに逆らうのは難しい。まじめに仕事をするヤツがいれば、バッシングされ、ちゃんと権利を行使するよう教育されるんじゃないかな。
国歌斉唱に起立しない教師と同じで、滅入れに逆らうことが正義と錯覚した人が増えると、あらゆる業務が遅滞する。それが一定数を超えたらどうなるか……。想像するだに恐ろしい。

怖いのは、これがサボタージュ(sabotage)につながることだ。
日本語のサボるは怠けることだが、本来の意味は「破壊活動」である。敵、または雇い主に抵抗するため、生産設備や交通網を破壊するのだ。すでにデモ隊と警察が武力衝突してるから、いっそうの過激化は避けられないかもしれない。

先日テレビで、「ギリシャ人の一日」が紹介されていた。仕事は午前中のみで、余暇たっぷり。まさにユートピアの生活だった。しかし財政破綻した現状と照らし合わせると、「そんな都合のいい生活があるか!」「ギリシャ人はまじめに働け!」「甘えんな!」と思わざるを得ない。

しかしギリシャ人にしてみれば青天の霹靂だろう。政府は低負担・高福祉を約束し、実現したけど、インチキだった。EU加盟時にも見つけられなかった政府のウソを、国民に見抜けるだろうか? あるいは、そんな政治家を選んだ国民が悪いのか?

むしろ、まちがっているのは世界の方じゃないか?

この科学の発達した現代において、なんで朝から晩まで働かなくちゃいけないのか? 借金、借金というけど、現実になにかが不足しているわけじゃない。みんな、金利を払うために働かされている。これはマネーゲームの罠だ!

まぁ、ギリシャの友だちはいないので、彼らがどう考えているかは知らないけどね。

ある日、宇宙人がやってきて、こう言った。

「地球人は莫大な借金を抱えています。
 あなた方の政府は、借金を返すと約束しました。
 地球人が借金を踏み倒すと、銀河連邦が混乱します。
 だから、寝る間も惜しんで働いてください。
 これまでの生活は夢だったのです。
 現実を見てください!」

そう言われて、ぱかっと目が覚める人は正常だろうか?