スペンドシフトは革命をもたらすか

2011年 社会 スーパーにて 海外 生活 省エネ
スペンドシフトは革命をもたらすか

WBSで「スペンドシフト(Spend Shift)」の特集を見た。

いま、アメリカ人の消費行動が転換(パラダイムシフト)を起こしている。「借金してでも消費する」という生活スタイルが見なおされ、「モノをもたない」「賢く選ぶ」「よりコンパクトに替える」という風潮が強まっているのだ。たとえば、タイニーハウスと呼ばれる小さな家が売れたり、少なく買う人のために品数を絞った業態のスーパーが出てきたり。
こうした風潮を、「スペンドシフト」と名付け、本を書いた著者は、リーマンショックや同時テロのショックから、アメリカ人が賢く消費するようになったと分析する。

へぇ、「スペンドシフト」っていうのか。
私自身、大量消費型の人生を送っていたわけではないが、ここ数年はますますコンパクトな暮らしを志向している。モノを買わない、持たない、増やさない。外食もしない。本、CD、ゲームを買わない。映画館にも行かない。その代わり、料理や旅行を充実させることでバランスを取っている。

番組ではスペンドシフトの「明るい部分」だけ取り上げていたが、もちろん「暗い部分」もある。
社会的にみれば、消費者が無駄な買い物をしなければ、経済は縮小する。企業は痩せ細り、給料は減って、ますます消費が冷え込む。デフレスパイラルだ。
個人的にみれば、右肩上がりでない未来に希望をもつことは難しい。あれもこれも削っていけば、最後は自分のいのちを吹き消すことになる。自殺者の急増だ。
あぁ、日本はすでに縮小をはじめているんだった。

どんどんモノを買って、どんどん捨てていく生活スタイルの方が、より幸福を実感しやすい。社会も、それを前提に構築されている。なのに、大量消費に興味がない=必要以上のお金に釣られない=お金で動かない人が増えてきたら、社会はどうなるだろう? 既得権益をもつ人々は戦々恐々として、「若者のクルマ離れ」とか「気持ちが通じない」と騒ぎ出すだろう。
あぁ、それも日本では起こっているな。

スペンドシフトは社会変革を起こすだろうか?
もし、お金で動かない人が増えれば──つまりお金より自分の信念や社会正義を優先する人が増えれば──きっと明るい未来が築けると思うのだが、どうだろう。