カレログが暴いた可能性

2011年 科技 iPhone デジタル 社会
カレログが暴いた可能性

8月29日、「カレログ」というAndroid向けアプリが発表され、ネットは大騒ぎになった。

カレログは、スマートフォンの位置情報や通話記録、電池残量をチェックするアプリ。これをインストールされると、居場所をごまかしたり、要注意人物と会話してないとか、電池切れだったとウソをつけなくなる。完全なストーカー支援アプリだ。ちなみに、女性会員向けの有料サービス。

「彼氏の行動をそこまで監視したいのか?」
「やましいことがなければ、恐れることはない」
「こんなものを仕込む女とはつきあえない!」
「事前の同意は、愛情の証よ」
「こんなのに同意するカップルは異常」
「プライバシー侵害だし、これはスパイウェアだろ」
「やべ、浮気相手どころか、友だちも少ないことがばれる~」
「運営会社に個人情報が筒抜けじゃん!」

あまりに反響(批判)が大きかったため、わずか3日で運営会社が「お詫び」を掲載。サービスを抜本的に見なおすことになった。これでおそらく事態は収束し、来週あたりは口の端に上ることもないだろう。

恐るべきカレログの追跡
※恐るべきカレログの追跡

だが、「カレログが暴いた可能性」を忘れてはならない。
つまり、スマートフォンから情報を抜き取ることは簡単なのだ。「カレログ」は有料サービスだが、「Find My iPhone」は無料だし、「カレログ」より高機能で秘匿性の高いアプリもある。同意チェックを省いたり、偽装することも可能だ。
ひとたびスマートフォンに侵入してしまえば、ポケットの中から居場所や会話内容などをスパイできる。これまでのように生身の探偵が後をつけ回す必要なんてない。あるいは、素行調査はすでにスマートフォン侵入が当たり前で、その手口を知られたくない業界が圧力をかけたのかもね。

心配性の親が、子どものスマートフォンにアプリを仕掛ける可能性もある。子どもが幼ければいいが、高校生になっても監視をつづけるとしたら不気味だ。「友だちの家に泊まるね」とか、定番トリックも使えない。

そして会社が支給するスマートフォンも要注意だ。上司は部下を監督しなければならない。不正行為や他社からの引き抜きを防止するのに、これほど便利なツールもない。まぁ、大企業のセキュリティは、すでに病的な域に達しているけどね。

「カレログ」のことは忘れてもいいが、スマートフォンにスパイウェアが仕込まれる可能性は、覚えておいた方がいいと思う。