Googleストリートビューは旅行者を増やすか
2013年 科技 Google Webサービス 旅行
Googleストリートビューのコンテンツが一気に拡充した。
2月にグランドキャニオンが登録され、3月は世界七大陸最高峰のうち、アコンカグア(南米)、キリマンジャロ(アフリカ)、エルブルス山(欧州)の山頂、及び、エベレストのベースキャンプ(アジア)が登録された。
ギャラリーを見に行くと、軽いショックを受ける。写真と思われた風景が動き、矢印に沿って歩けるのだ。まるで魔法の本、あるいはSFのようだ。この技術に驚かない人は、こころが乾いているよ。
歩きながら全方位を撮影できるバックパック式カメラ機材「Trekker(トレッカー)」の開発がブレイクスルーになったようだ。撮影風景を記録した動画もあって、これまた感動的だ。
Explore the Grand Canyon with Google Maps
富士山頂の思い出
キリマンジャロやエベレストなどもすごいが、個人的にショックを受けたのは、富士山頂と屋久島までのルートだ。
富士山はご来光を見るために登ったけど、ゆっくりしすぎてタイミングを逃している。リトライするか迷っていたが、あっけなくGoogleストリートビューで見られてしまった。もちろん、ご来光の写真はたくさん見ているが、なんとなく悔しい。自分が苦労して登って、たどり着けなかった景色を、みんな簡単に見ちゃうんだな。
屋久島のまだ見ぬ世界
いつか行ってみたいと思っていた屋久島も、あっさり疑似体験できてしまった。長い長い道のりを、クリックしながら進んでいく。こんなに長いのか、こんなに険しいのか、こんな景色が見えるのか、ここを曲がるとこうなるのか。写真や動画でわからなかったことがわかる。くそっ、これじゃ、旅行しなくていいじゃないか!
旅する目的は?
旅の目的は「そこへ行く」ことだ。そこに行って、何枚か写真を撮れば満足する。そこで「なにかする」ことが目的なら、それは出張──用事を果たすための移動になる。
写真で見た情景でも、自分の目で見るとちがう。写真のフレームに収まらなかった周辺状況が、旅の醍醐味と言えるかもしれない。
Googleストリートビューで、旅の醍醐味を代用できるわけじゃないが、現地の様子がここまで手軽に見えてしまうと、なんというか、切ないものを感じる。
旅の醍醐味は、なかなか人と共有しづらいものだったが、技術革新によって考え方、受け止め方が変わってきている。それでも人は、旅に出るのだろうか。ネットに書いてあったことを確かめるために? うーん。