店舗は畳んでコンビニで売る / ハーゲンダッツのリアル店舗消滅

2013年 政治・経済 仕事 経済
店舗は畳んでコンビニで売る / ハーゲンダッツのリアル店舗消滅

 4月25日、ハーゲンダッツ最後のリアル店舗(新浦安店)が閉店した。

 店舗営業からは撤退し、今後はスーパーやコンビニ販売などに特化するそうだ。私は事情通ではないため、この方針が意味するところはよくわからないが、人間の手を介さない小売りが席巻していく流れの嚆矢になりそうな気がする。

29年の歴史

 ハーゲンダッツの日本上陸は1984年。ピーク時となる90年代半ばは100店近くあったらしいが、その後はゆるやかに減少していった。
 光が丘にもハーゲンダッツ店舗があったけど、2010年3月22日に閉店した。今はサブウェイになっている。売り上げ不振が原因と思っていたが、リアル店舗から撤退する流れの1つだったのかもしれない。
 まぁ、売り上げが順調なら撤退なんてしないけどね。赤字を垂れ流しても店舗販売にこだわる経営者が多い中で、いさぎよい判断と言えるかもしれない。

 気になるのはスタッフの行方。ゆるやかに撤退しても、スタッフ全員が再雇用されたとは思えない。非正規雇用はばっさり解雇できるが、正社員も多く働いていただろう。なんとか社内に残れても、店舗販売で培ったノウハウは役に立たないのか。つらいなぁ。

私のハーゲンダッツ史

 私の経験を振り返ると、友人に教わってコンビニで買いはじめたのが90年代はじめ。マカダミアナッツの大粒がお気に入りだった。スーパーで買う方が安いんだけど、食べたいときに食べられるコンビニも捨てがたく、悩ましかった。

 その後、都内各地で店舗を見かけるようになる。最寄りの光が丘店はちょくちょく利用した。コンビニより高いけど、コーンやパフェといったオリジナルメニューは魅力的だった。パイントで買ってちょっとずつ食べたのもいい思い出。あまり知られていないが、アイスケーキが好物だった。

店舗販売は儲からないのか

 話をもどそう。ハーゲンダッツは店舗販売から撤退したが、スーパーやコンビでの販売は継続するそうだ。言い換えると、リアル店舗を運営するより、スーパーやコンビニで委託販売する方が儲かるってことか。

 これは、高級アイスクリームを扱うハーゲンダッツだけの現象だろうか?

 昨年末、「コールドストーンカップアイス」を食べた。当たり前だが、目の前でスタッフがアイスを混ぜて、練ってくれる風味はまったくない。店舗で製造することで差別化したコールドストーンの商品をコンビニで売るなんて馬鹿げてると思ったが、これが売れたらコールドストーンのリアル店舗はなくなってしまうかもしれない。多少、風味が落ちても、人は安い方、手軽な方に流れてしまうからね。

 コンビニ弁当の進化もめざましく、ほか弁のアドバンテージを奪いつつある。将来、たとえば熱々のラーメンを届ける技術が確立されたら、ラーメン屋もなくなるかもしれない。もちろん、いまは考えられないが、絶対にありえないとも言い切れない。

未来はどうなる

 リアル店舗をたくさん作ること(出店攻勢)は、飲食業の基本的な成長戦略だったけど、これからもそうとはかぎらない。

 消費者としては、リアル店舗がたくさんある方がうれしいが、経営者にとってリアル店舗はリスクの高い営業形態だ。委託販売でなくとも、スタッフをロボットに置き換えるなど、さまざまな工夫が凝らされていくだろう。

 ハーゲンダッツのリアル店舗撤退は、そうした流れを象徴する出来事に位置づけられるかもしれない。

※写真は2010年に閉店したハーゲンダッツ光が丘店

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