バターはどこに消えた? 2014年版

2014年 政治・経済 社会 経済
バターはどこに消えた? 2014年版

 スーパーからバターが、また、消えた。

 小さいサイズはあるが、ふだん使いの200gブロックが見当たらない。べつのスーパーも同じ。テレビで「バターが健康にいい!!」とか放送されたんだろう、と思っていたが、それらしい話題もない。

 そういえば6年前も同じことがあった。あのときは生産調整の失敗だった。

 気になって調べてみたが、生産量が落ちたらしい。

 つまり牛がお乳を出し惜しみしたわけじゃなくて、酪農家が減ったのだ。北海道だけでも一年で200戸以上が離農したそうだ。東日本大震災の影響や、粗飼料の高騰などが原因だが、TPPを見据えた投資の冷え込み、「バター利権」もからんでいるから、一朝一夕に解決できる問題じゃない。

 牛のお乳は毎日出るから、生産量はそう変わらない。海外産のバターもたくさんある。しかし2008年は店頭から消え、2009年は余るほど流通した。これは、酪農家と消費者を仲介する組織が、価格や流通量をコントロールしているせいだ。

 バターが品薄になれば、価格が高騰し、儲かる人は儲かる。2008年はやりすぎて市場が混乱した。そして2014年はもっとやりすぎて、酪農家が減ってしまったのだ。コントロールするなら、賢くコントロールしてほしい。これじゃ日本の酪農は死滅するぞ。

 7月1日からバターは値上げするそうだ。しかし生乳不足は解決しないから、今後も値上げがつづくかもしれない。チーズは輸入を制限されてないから大丈夫らしいが、ううーん、そうじゃなくて、しっかりしてほしい。

 離農といえば、「銀の匙」第二期を思い出す。

 ふだん口にする食品のことを、私たちはよく知らない。どこで生産され、どのように運ばれ、だれが価格を決めているのか。
 こうした無関心が、仲介者を太らせ、生産者を追い詰めているのかもしれない。