高瀬舟 (前田吟) TAKASE-BUNE

1988年 日本映画 3ツ星 囚人 文学・古典・童話 時代劇

事情を知った上での有罪か。

市原悦子のナレーションが素晴らしい。高瀬舟の説明がよい。
高瀬舟の川下りが明るく人が多く、まるで路上で会話してるような違和感があったが、やがて開けたところに出て、ラストは夜明けの海になった。中盤あたりは「もうちょい暗く撮影できないのか」と思ってた。

ちょこちょこ原作と異なる。喜助は快活な好青年で、「弟殺し」という罪状は中盤まで明かされない。なので庄兵衛に「身内を殺してなぜ晴れやかな顔なのか?」という疑問が起こらない。船頭も話に加わり、いまいち悲壮感がない。

最大のちがいは、隣人たちが喜助の無実を知っていて、お上に訴えていること。お上は事情を知った上で、喜助を有罪とした。庄兵衛は、そんなお上に判断を委ねるという。お上が知らない事情がないのに、なにを判断しろと言うのか?
安楽死の是非や、幸福について考えるより、「お上は駄目だ」という怒りに傾いてしまったのは残念。

ゆっくり文庫

私の翻案作品も見てほしい。


ページ先頭へ