帰ってきたヒトラー Er ist wieder da

4ツ星

困ったことに、否定できない。

拳銃自殺したヒトラーが現代によみがえった。異世界ならぬ同世界転生もの。ヒトラーの弁舌には説得力がある。「カリスマ性を発揮」みたいな魔法ではないし、ぺらぺら軽薄にしゃべることもない。誠意も感じられる。それゆえ、なぜヒトラーの弁舌がまちがっているのか、ちゃんと反論できない。「否定しなければならない」と思うが、なぜ「否定しなければならない」と思うのかも、うまく説明できない。

犬を射殺したことで、ヒトラーは叩かれる。人を殺しても、ここまで叩かれない。現代人の不思議な倫理観が浮き彫りになった。

これからどうなるか、映画は語ることなく終わる。困ったことに、帰ってきたヒトラーに好き勝手やらせてみたい気持ちが、ないと言ったら嘘になる。