ヘレディタリー/継承 Hereditary

2018年 外国映画 3ツ星 ホラー モンスター:悪魔 家族 幽霊

新しい「怖さ」かも。

 「直近50年のホラー映画の中の最高傑作」「21世紀最高のホラー映画」などと評されているが、見てみるとそうでもない。というか、物語の「流れ」がわからない。奇癖をもつ妹が、突然死ぬ。兄は経緯を伏せたようだが、歩行中の自己じゃない。隠せるものじゃないだろう。案の定、母アニーは疑惑を口にするが、出てくる言葉は出産の後悔。あれあれ?
 アニーは夢遊病を患っており、見聞きするものは幻覚の可能性がある。つまり「信頼できない語り手」だ。そのため、なにが起こっているのか推測できない。

 さらに降霊術。付き合ってられない夫と息子、信じてほしい母親。その様子はめちゃくちゃリアル。夫と息子は不可解な現象を目にするが、拒絶する。これはトリック、これは幻覚。正常性バイアスが働いて、超常現象と向き合えない。しかし恐怖はあるから、医学的アプローチもにぶる。うはー、どうすりゃいいの。

 最後の展開はポカーン。
 物理法則を無視した怪現象。いや怪現象だから当然か。それじゃ息子は正常? 息子が見ていた怪現象も、じつは怪現象?

 本作のもっとも怖いところは、怪現象を怪現象として認知できないことにある。つねに精神異常の可能性がつきまとう。この切り口はありそうでなかった。

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