ベルリンの壁崩壊から20年 / 世界は期待するほど安定していない

2009年 政治・経済 時事ネタ 海外
ベルリンの壁崩壊から20年 / 世界は期待するほど安定していない

ベルリンの壁崩壊から、もう20年か。テレビの特集番組を見て、時の流れの速さと、社会変革の遅さを思い知った。

ベルリンの壁崩壊から20年で記念式典、米独ソの元首脳が出席

[ベルリン 31日 ロイター] 東西ドイツを分断していた「ベルリンの壁」崩壊から20年を迎えるのを前に、現地では31日、コール元独首相(79)とブッシュ元米大統領(85)、ゴルバチョフ元ソ連大統領(78)が出席して記念式典が開催された。

ベルリンの壁が崩壊したのは1989年11月9日。当時、私は18歳。卒業したとたん、学校で学んだ世界地図が変わってしまったことに驚いた。2年後の1991年には、ソビエト連邦も崩壊。永遠につづくと思われていた冷戦が、まさかこんな唐突に終わるとは! 歴史や地理は、完結した物語ではないと実感した。

その後、日本の分割統治計画があったことを知る。ドイツやベトナム、朝鮮のように、日本も分断されていたかもしれない(見方によっては、分断されている)。当然のように享受していた日本の平和は、じつは、多くの偶然によって成り立っていた
このころから私は、(学校で学ばなかった)歴史や地理に興味を覚えはじめたと思う。

1990年、ドイツは再統一を果たす。ドイツは40年にわたって分断されたものの、砲火を交えなかったので、スムースに統一されたと思っていた。しかし実際は、今なお経済格差、意識格差に悩まされていた。

記憶の風化も進んだ。資本主義に疲弊した若者たちは、親の世代が忌避した社会主義の復権をねがっているし、東西ドイツ時代は封じされていたネオナチ思想さえ、息を吹き返しつつあると言われている。ミュンヘン一揆が再発しないことを願う。

世界は期待するほど安定していない。冷戦終了後、永遠につづくと思われていたアメリカの一極支配も、すでに崩壊しつつある。諸行無常。万物流転。信じられない変化も、起こってしまえば信じるしかない。抵抗感(過去の記憶)も、すぐ失われる。そのくせ社会は、思うように変化しない。

あれから20年、これから20年。
平和な時代に生まれてよかったし、平和な時代に余生をまっとうしたい。