D坂の殺人事件 (監督:実相寺昭雄) Murder on D Street

1998年 日本映画 3ツ星 探偵 狂気 @江戸川乱歩

「しかし、私は高いですよ」

真田広之の魅力にあふれた1本。その妖艶さは突出しているが、物語はわかりにくい。傾いた構図、極端な陰影、自己主張の激しい効果音など、実相寺監督特有の演出はおもしろいが、キャラクターに没入できないし、「事件」が起こるまでに半分以上の時間を要するため、集中力が途切れてしまった。最初の30分で方向性を示してほしい。

事件が起こっても、犯人がわからない。犯人がわかっても、動機がわからない。贋作を作ると真作を処分する性癖があったとして、絵のモデルまで殺すのは突飛じゃない? 明智小五郎も「理解できない」と言うが、小林少年は「理解できる」という。小林少年が、明智小五郎を模倣している(贋作である)と思うと意味深だが、そーゆー演出意図はないようだ。

とにかく説明不足。状況を理解するには、尋常ならざる注意力と想像力、そして愛情を要する。よく言えば文学的、悪く言えば観客を置き去り。「それがいい」と言えるほど傾倒できなかった。

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