赤い天使 Red Angel

1966年日本映画 4ツ星ドラマ戦争

手当された男は、みんな死ぬ。

ストーリー

日中戦争のさなか、陸軍病院に配属された西さやかの物語。
西は着任早々、負傷兵たちに集団レイプされる。西は自分を犯した男を救うため、軍医の慰みものになったが、男は死んだ。西は、両腕を失った若い兵士の射精を手伝うが、その兵士は自殺した。中国軍に包囲されて病院は全滅。軍医も殺されたが、西は生き残った。
（おわり）

私は反戦映画を好まない。いたずらにショックを与え、「戦争は悪」という価値観を刷り込んでくるからだ。しかし本作は娯楽として楽しめた。いや、私の楽しみ方が本来想定されたものか、わからない。

大根のように切り落とされていく手足。のこぎりの音が耳に残る。助けられるものを殺し、死んだほうがマシなものを生かす。野戦病院の惨状は目を覆わんばかり。
その中でエロスが強調されていく。エロスこそ生であると訴えてくる。そんな馬鹿なと思いつつ、圧倒される。

西さくらはファンタジーだ。彼女は疲れないし、狂わないし、汚れない。彼女に手当されたものは、みな死んでいく。天使というより死神だ。エロスの頂点にタナトスがある。そんな馬鹿なと思いつつ、圧倒される。

むき出しの痛みと快楽。強烈な映画だった。