ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ The Founder

2017年 外国映画 3ツ星 実話に基づく 社会人

「国旗と十字架とアーチ!」

ストーリー

 1954年、52歳のレイ・クロックは、マクドナルド兄弟のハンバーガー屋のシステムに魅了され、フランチャイズ展開をはじめた。事業がまわりはじめると、兄弟との契約が邪魔になったため、経営権と商標を買収。かくしてレイは巨大なマクドナルド帝国の「創業者」となった。
(おわり)

 マクドナルド兄弟から見れば、レイは侵略者。金の亡者。粉ミルクを導入した悪魔。妻を捨て、人妻を奪った。契約も紳士協定も無視。兄弟は看板と健康を失った。ひどい話である。

 消費者から見れば、レイのおかげでファストフードが世界中に普及し、多様化し、快適に暮らせるようになった。マクドナルド兄弟は5軒の店舗さえ経営できなかった。兄弟にとっては不本意な結末かもしれないが、270万ドルはハンバーガー屋で稼げるお金じゃない。兄弟がもっと柔軟なら、帝国の共同経営者になれただろう。

 映画はレイ・クロックを悪として描いている。しかも法律でも勝てない絶望感も漂わせて。それは偏っていないだろうか。成功者がもたらした恩恵に浴しながら、道徳的に正しくないと文句をいうのはルサンチマンだ。

 マクドナルド以前のドライブインの惨状、フランチャイズの難しさ、果てしないレイの野心。映画は中盤までおもしろかった。人妻歌姫の登場で、風向きが変わった。けなげな妻を捨てたことで、レイは「人のものを欲しがる金の亡者」に成り下がってしまった。

 レイはなにを求め、それは得られたのか?
 外食産業を不動産業に変えた意味とは?
 マクドナルドの成功で世界はどう変わったのか?

 そのへんも描いてほしかった。

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