銭形平次捕物控 死美人風呂 Zenigata Heiji Shibijin-buro

1956年 日本映画 4ツ星 チャンバラ 刑事・警察 推理 時代劇

「いろいろと嗜みをお持ちで!」

銭形平次は子供のころ、テレビで何度か見たが、覚えているのはオープニングだけ。本作は、初期の映像化作品。大映制作、長谷川一夫主演の9作目に当たるそうだ。

なんも知らずに視聴したが、美空ひばりが出演していることに驚いた。愛らしい軽業師の娘・お雪。飛んだり跳ねたり、逆立ちしたり、屋根から瓦を投げたり、綱渡りしたり。特撮もあるが、美空ひばりの身体能力なら可能かも? と納得してしまう。
お雪はに男装して、歌も歌って、その素性は伊達藩の姫と言うんだから強烈だ。おまけに男に媚びることもできる。属性てんこ盛り。演技がうまいってことはないが、目を奪われる。

そんな美空ひばりを受け止める長谷川一夫の安定感。太い眉毛。低姿勢だけど、筋は通す。ピンチになっても知恵とワザで切り抜ける。頼り甲斐がある。おもしろいぞ。

銭はちょいちょい投げるが、なにを投げているか判然としない。当たった敵が「痛っ! なんだこれは? 銭?」と叫ぶこともない。銭形平次が銭を投げることは常識であって、わざわざ強調しないのか。

風呂屋で十八娘が4人殺された。娘たちはそろって、左の乳房に痣があった。犯人は痣がある娘を探している。軽業師の娘・お雪の乳房にも痣があった。その正体は、伊達藩主の隠し子。娘を守りたい藩主と、暗殺したい家臣との騒動だった。
なかなか複雑で、しっかり考えられている。
お雪は「大名の娘より、軽業師の娘として生きたい」と拒否するが、平次は事情を鑑み、戻るよう促す。藩主は娘との再会を喜び、お雪も涙を流す。人情だ。家臣の陰謀からお雪を守り、静かに去っていく平次。かっこいい。

おもしろかった。

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