阿部一族 (監督:深作欣二) The Abe Family

1995年 日本ドラマ 3ツ星 チャンバラ 実話に基づく 時代劇 歴史

あと一歩、行けたのではないか?

深作欣二による映像化。ところどころ翻案され、わかりやすくなっている。クライマックスの剣戟シーンも圧巻。ラストは原作どおりだが、真田広之の熱演で真逆の意味が与えられた。

反面、構図が単純化しすぎている。
細川忠利が殉死を禁じたことで、殉死がイケナイコトになってしまった。主君が殉死を許す苦悩や、手柄を立てる機会を逸した家臣の苦悩、といった側面はない。光尚はバカ、外記は悪人とされている。原作も大して人物像を掘り下げていないが、ここまで単純だと安っぽい。
ところで悪人の顔を白く塗る演出は、『忠臣蔵外伝・四谷怪談』(1994)や『ケルベロス-地獄の番犬』(1991)でも見受けられるが、どこが発祥なんだろう?

弥五兵衛(佐藤浩市)と柄本又七郎(真田広之)の交友を早いうちに描いたのはいいね。抜け駆けでありながら報奨をもらった結末を、うまくアレンジしている。
竹内数馬の特攻は、相変わらずあっけない。
決戦をまえに去らなかった家来たちの忠義、自決した女子どもの悲壮感は鮮烈。

クライマックスの上意討ちは大迫力。狭い屋内のあちこちでチャンバラが展開し、どっから槍が飛んでくるかわからない。そんな中、真田広之の声がよく通るで場を仕切る。時代劇なんだけど、当時のサムライにはこうした制圧力があったのだろうなぁと感じいる。

映像化として申し分ないが、もう少しドラマを掘り下げて欲しい気もする。

自分でやってみるか。

ゆっくり文庫




阿部一族

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