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[レビュー1967年08月13日に発表された 

俺たちに明日はない

Bonnie and Clyde

止まれない若者たち

実在した銀行強盗であるボニーとクライドが、出会ってから死ぬまでを描いた犯罪映画、そして青春映画。私が鑑賞したのは2017年だから、公開から半世紀後。強烈なラストシーンを知っていたから、終着点を意識しながら見ることになったが、おかげでストレスを溜めることなく鑑賞できた。

ボニーとクライドは教養がなく、現状への不満をどう処理してよいかわからず、犯罪に走ってしまう。もともと邪悪だったり、粗暴だったわけじゃないが、犯罪の高揚感に呑み込まれていく。
クライドがインポテンツで、ボニーを性的に満足させられないことも悲しい。滑稽で、凶暴で、救いのなさが、ナレーションやセリフではなく、演技によって表現されていく。見事だ。

しかし映画中盤はだれる。C・W・モスを部下にして、クライドの兄バックと合流し、保安官を辱め、ユージンの車を盗む。イベントの半分は省略できそう。
クライドとボニーがともに親思いで、帰省したがるのは牧歌的。当然の帰結として、帰ったことで状況が悪化する。そんなことも予測できないから、犯罪者になったのか。救いようがない。

自分で自分を律することができない彼らは、87発の銃弾を浴びてようやく止まる。その展開は唐突だが、これしかなかったという納得感がある。どこかで運命をひっくり返すチャンスがあっただろうか? なさそうだ。
同情の余地はまったくないが、あわれに思う。

原題は「Bonnie and Clyde」だが、これを「俺たちに明日はない」という邦題にしたセンスは素晴らしいね。文芸の仕事だ。

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