レビュー  1953年03月26日  に発表された 

雨月物語
Ugetsu Monogatari

4ツ星

暗く、不潔で、あいまいな時代

あらすじ

源十郎は貧農で、妻・宮木と子の3人で暮らしていた。ある日、村から遠く離れた長浜で焼き物を売っていると、若狭という身分の高い女性に声をかけられ、そのまま彼女の屋敷で暮らすようになる。月日が流れる。

源十郎の義弟・藤兵衛は、侍になりたいと村を飛び出した。妻・阿浜はあとを追うが、兵たちに強姦される。藤兵衛は偶然から手柄を立て、意気揚々と村に凱旋するが、遊女に成り下がった阿浜と出会い、自分の非を詫びる。

若狭の正体は死霊だった。通りすがりの神官に諭された源十郎は、村へ帰りたいと願い出る。若狭は引きとめようとするが、神官が施した呪文によって事なきを得た。目が覚めると屋敷は消えていた。焼き物を売った金も侍たちに奪われてしまう。

家に帰ると、宮木が待っていてくれた。源十郎は自分の過ちを悟る。夜が明けると宮木の姿はなく、すでに落ち武者たちに殺されていたことが判明する。

今日も源十郎は焼き物をつくり、藤兵衛と阿浜は畑を耕すのだった。

『雨月物語』から「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の2編を組み合わせているが、オリジナルの登場人物やシーンも多い。短編の切れ味はないが、ぼんやりした切なさが伝わってくる。
特筆すべきは情景描写。衣服の汚さ、部屋の暗さ、生活の厳しさ、兵隊たちの粗暴さがリアルで、ドキュメンタリー映像のようだった。この雰囲気は、映画を見ないとわらかない。

ぶっちゃけ、ストーリーはまとまりがない。
源十郎(森雅之)はやむなく妻子を村に残し、藤兵衛(小沢栄)は妻の制止を振り切って飛び出す。結果、源十郎の妻は死に、藤兵衛の妻は強姦されるが生き残る。この運命の対比は意味するところがわからない。
源十郎が村に帰らなかった理由が妖怪のせいになったことで、彼の責任も薄らいだ。トップにクレジットされている若狭(京マチ子)と宮木(田中絹代)が、互いの存在に言及しないのも肩すかし。長浜に二度行く必要はないし、夢オチが繰り返されるのも好ましくない。それぞれの場面は美しいのに、つなげて見ると意味がぼやける。

いろいろ粗いが、印象的な映画だった。モノクロ映画の魔力かもしれない。

妄想リメイク(ゆっくり文庫)

雨月物語「浅茅が宿」の源流は、今昔物語「#27 人妻死後会旧夫語」にある。同じ派生作品として小泉八雲の「和解」があり、これを翻案した動画を作ってみた。「雨月物語」の理解を深める一助となればさいわいである。


[解説ページ] 【ゆっくり文庫】小泉八雲「和解」

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