強さのジレンマ
2005年 娯楽 ゲーム──前回のつづき。
回復薬だけでなく、レベルアップもそうだ。
最終ボスを(ラクして)倒すため、(苦労して)レベルアップしておく。
ここにも、哀しいジレンマがある。
最終ボス戦がはじまる。
どんなに強いヤツかと思ったら、あっけなく倒せてしまった。
最終ボスが弱いのではない。自分が強くなりすぎたのだ。
この話を友だちにすると、唖然とされる。
「なにそれ? なんでそんなにレベルアップすんの?
最終ボスを倒せるレベルで十分じゃない。
無駄なことすんなよ。」
……おっしゃるとおり。
だがな、どうして適量がわかるんだ?
最終ボスは強いと思ったから、がんばった。
それのどこが悪いんだヨ!
◎
強くなりすぎたキャラは、哀しい。
──哀しくて、むなしい。
最終ボス戦のドアを開けるまではよかった。
あのドアを開けるまでは、大きな目標があった。
「打倒! 最終ボス」
しかしドアは開かれ、やるべきことはなくなった。
もう戦う相手も、解くべき謎もない……。
ねぇ、ゲームはこれでオシマイなの?
◎
つまり、苦戦して勝ちたかったんだ!
(苦戦したい?
楽勝するためにレベルアップしたんじゃないの?)
ちがうんだ!
自分の全力を尽くして、それでも勝てない強敵を、知恵と勇気を振り絞って勝つのがイイんだ。こんな圧倒的な力で勝ちたかったわけじゃない(これはこれで爽快だったけど)。
レベルアップのしすぎは、あなたの楽しみを損なう恐れがあります。
がんばりすぎに注意しましょう……?
うがぁー!
……と悩んだことはないだろうか?