N氏の割り切り
2007年 生活 仕事 N氏「えぇ~! そんなことに悩んでんの?」とN氏は笑う。
イスの脚を切る話ね。
クライアントから、クライアント自身の不利益となる作業を依頼されたらどうするか? 私は思いとどまるよう説得するのだが、うまくいかずに悩んでいた。
しかしN氏は悩まない。
「ハイハイ♪」といって切ってしまう。当然、クライアントはすっころぶ。するとN氏は駆け寄って、手助けする。
「だ、大丈夫ですか!
おけがはありませんでしたか?
まさか転んでしまうとは思いも寄りませんでしたね。
ところで、このイス、どうします?
元に戻しますか? お金かかりますけど...」
こういってN氏は、切るときと修理するときで2回、儲けてしまう。
実際には、切る(無茶な仕様での開発する)ときは、どうせ壊れるとわかっているので手を抜いている。そして修理する(もとの状態に戻す)ときは、バックアップから復元するだけ。
つまり、クライアントの言いなりに作業した方が儲かるってわけだ。
◎
「ヒラさんは考えすぎなんだよ」とN氏は言う。
「クライアントはね、馬鹿なんだ。
馬鹿だから、仕事を発注してるんだ。
あの人たちが賢かったら、ぼくらの仕事は減っちゃうよ。
クライアントに理性を期待するのはやめた方がいい。
自分の首を絞めることになるよ」
あまりにも説得力があるので、私は言い返せなかった。
注:N氏とは
N氏は私の友人で、プログラマで、経営者でもある。同じ取引先に出入りしているので、よく飯を食いに行ったりしている。