漫画の長期化にうんざり

2009年 娯楽 マンガ 考察
漫画の長期化にうんざり

いつまでも終わらない漫画が多くて困る。

「お、いいね♪」と思っていた作品が、えんえん連載をつづけ、しだいに興味を失っていくことが増えた。しかも、それだけ巻数を重ねていながら、「なにをどうしたらゴールか」見えないことが多い。いや、ゴールが見えないからこそ、連載がつづくのかもしれない。

これは業界の傾向なのか、同じ作家でも巻数が伸びている。
たとえば、希有壮大なスケールで最終戦争を描いた『デビルマン(1972年)』は全5巻だが、25年後に描かれた『デビルマンレディー(1997年)』は全17巻だった。『デビルマン』より3倍以上も長いのに、おもしろさは『デビルマン』に数段劣る。アイデアは秀逸だったので、全3巻くらいだったら、傑作になれたかもしれない。残念だ。

私はストーリーを楽しみたい。そしてストーリーには終わりが不可欠だ。
どんなに素晴らしいストーリーも、長ければ飽きる。終わらないのに楽しめるストーリーなどない。それはストーリー漫画ではなく、シチュエーション漫画であろう。
おもしろくなければ長期化しないが、長期化することでおもしろさを失っている。ストーリーには、それにふさわしい長さがある。いたずらに延命しても、いいことはない。

「いいことはない」と断じるのは、私が消費者だからで、漫画を描いたり、売ったりする人にしてみれば、仕事(連載)は長くつづいた方がいい。おもしろい漫画を5年で5本作るより、おもしろい1本を5年つづける方が確実だ。芸術のために生活を犠牲にしろ、とは言えない。
しかし素晴らしい作品が、長期化によって輝きを失っていくのを見るのはつらい。

漫画の本数は増えたけど、私のような「完結したら読む派」は住みにくくなった。