仲代達矢の無名塾 / 嫉妬は組織の活力になる

2009年 社会 仕事
仲代達矢の無名塾 / 嫉妬は組織の活力になる

日経ビジネス5月18日号で、仲代達矢の無名塾の記事を読んだ。

無名塾とは、仲代達矢が主催する役者養成所。塾生から費用を徴収しておらず、役所広司などの著名な俳優を輩出しておきながら、その存在は多くの矛盾をはらんでいる。それでも指導をつづける仲代達矢の情熱と苦悩、そして喜びが伝わる記事だった。
その中で、気になる一節があった。

「嫉妬は組織の活力になる」

よいパフォーマンスを見せる劇団は、必ず組織の中に嫉妬があるという。むしろ互いに嫉妬しない仲良しグループでは、よい結果を出せない。
「あいつ、うまいなぁ。こんちくしょう!」
という嫉妬心が、役者を高めるのだ。

無名塾では、礼儀作法の大切さを口を酸っぱくして説いている。仲代達矢に言わせると、礼儀作法は芸能界で生きていくために必要不可欠な「技術」であるらしい。
芸能界は嫉妬に満ちている。だからこそ先輩や周囲への礼儀作法が、自分に向けられる嫉妬を和らげてくれる。また、他者へ転嫁できなくなった嫉妬は、自己研鑽の強い動機付けになる。
なるほどなぁと思った。

自分より優れたるものへの嫉妬が、自分を高めてくれる。ただし礼儀をわきまえ、嫉妬を漏らさず、また嫉妬を向けられないようにすること。まるで圧力鍋のようだと思った。

さて、私の中に圧力鍋はあるだろうか?
自分が好きな分野で、自分より優れたるものに出会うことは多い。仕事しかり、文章しかり、写真しかり。そのたびに落ち込んだり、相手を悪く言ってもはじまらない。自分の嫉妬心を恥じることもあるが、そうじゃない。

強く嫉妬しながらも、それを内に秘めることで、前へ進めるのか。

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