星間種子を信じるか

2009年 科技 宇宙
星間種子を信じるか

NASAが打ち上げた人工衛星が、彗星のチリからアミノ酸を発見したそうだ。

アミノ酸が地球近傍でひょいと見つかるなら、生命は地球だけの特殊な存在(→レアアース仮説)ではなく、宇宙ではありふれたものかもしれない。
生命の宇宙起源説(→パンスペルミア仮説)を裏付ける発見だ。
こういうニュースを見ると、興奮しちゃうね。

SF好きなら、星間種子(スターシード)と言った方が聞こえがいいな。
星間種子といえば、星野之宣によるSF漫画『2001夜物語』を思い出す。
『2001夜物語』は、近未来ら遠未来にかけての宇宙開拓叙事詩。人類は、生身では到達できない宇宙の彼方へ、人工知能や凍結した精子と卵子を送り出す。一方、宇宙の彼方では、高度に発達した植物がみずからの種子を宇宙に蒔いていた。
──生物とは、文明とは、知性とはなにか?
広大無辺の宇宙に問いかける、とびきり質の高い作品だった。もう20年前になるのか。

もちろん、アミノ酸は「種子」とは言えない。
アミノ酸があっても、タンパク質が生成され、生物となり、文明を築く確率は限りなくゼロに近い。しかし宇宙は途方もなく広い。星の数ほど星があるのに、地球だけを例外視するのは自意識過剰だ。
銀河系に人類とコンタクト可能な地球外生命体が発生・分布している確率を科学的に推測しても、1.0以上になる(→ドレイクの方程式)。つまり論議すべきは、地球外生命体が存在するかどうかではなく、存在するのになぜ遭遇しないのか(→フェルミのパラドックス)であろう。

昨今は、地球外生命体について語るだけで変人扱いされてしまうが、科学的にみても、存在を否定する根拠は乏しい。まぁ、この発見をもって宇宙人の実在や、宇宙共通の祖先がいると考えるのは飛躍がすぎる。私もグレイやレプティリアンを信じているわけではない。
しかし私たちが宇宙において孤独な存在でないことは信じている。
あるいは、そう信じたい