脱原発の選択肢がない

2011年 政治・経済 原発 災害
脱原発の選択肢がない

 2011年の東京都知事選は、石原氏の勝利に終わった。

 私は石原氏の政治方針に不安を感じている。非実在青少年健全育成法の強引な可決や、戦時中を美化する自粛要請などは、考え方が古すぎる。なにより明瞭な原発推進論者であることを憂う。
 福島原発は、東京に電力を供給するために設置された。東京が原発を求めるかぎり、今後も原発は「東京以外のどこか」に造られるだろう。新たな原発を造るかどうかは、都民の選択にかかっていた。

 とはいえ、選択肢はなかった。得票2位の東国原氏も、3位の渡辺氏も、原発への態度があいまい。共産党の小池氏だけが脱原発を訴えたが、震災直後のためまともな議論にならず、なんとなく石原氏の再選が決まってしまった。
 東京の脱原発議論は2015年まで先送りされる。これでいいのだろうか。

 震災直後は、「日本に原発はいらないのでは?」と発言すると、「いや原発は発電効率がいい」「代替案がない」「原発反対論者は頭がおかしい」と見る風潮もあったが、1ヶ月を経ても沈静化のメドも立たない現状が明らかになると、潮目が変わってきた。
 日本の原発は、技術は高くとも、管理能力に致命的な欠陥がある。今回の失敗で、東電や官僚、政府が心を入れ替えるとは思えない。安全基準が高まれば、開発・運用・廃炉にかかるコストが増大し、投資メリットもなくなる。だから新たな原発は造られないだろう、と思っていた。

 しかし脱原発の候補者がいなければ、脱原発が進むはずもない。自民党と民主党は、どちらも原発推進派だから、選択にならない。仮に脱原発の政治家が増えても、官僚に言うことを聞かせるのは至難の業だ。
 時間が経てば経つほど、人々は興味を失っていく。そうなれば官僚の思うつぼ。だから今、脱原発の東京都知事に当選してほしかった。

 まぁ、福島原発の事故処理は数十年かかるから、次の都知事選で原発の可否はホットな争点になるかもしれない。
 2015年、福島原発の周辺がきれいに事故処理され、補償や廃炉にかかる費用がリーズナブルで、安全・安心で無駄のない運用方法が確立され、しかも電気代が今より値下げされていれば……原発推進は正解だったと言えるだろう


原子力は今後も基幹 関電会長
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