信じすぎず、疑いすぎず

2011年 政治・経済 原発 災害
信じすぎず、疑いすぎず

 震災後、原発についての賛否が噴出している。

 「今すぐ止めろ!」という極端な反対派もいれば、「新たに建設せず、段階的に廃炉すべき」という中道反対派、「運用体制を抜本的に見直すべき」という中道賛成派、そして「それほど大騒ぎする事故ではない!」という擁護意見もある。私は官僚組織を信じられないので、段階的廃炉がいいと思う。どちらと聞かれれば、反対派だ。
 自分が反対派だと、それを補強する意見ばかり読むようになる。すると、ますます反対派に傾いていく。偏るのはまずいから、なるべく反対派への反対意見も読むようにしているが、バランスを取るのは難しい。
 まぁ、事故が起こった以上、安全でないのは明らか。現状で原発推進に賛成するのは無理だ。

 反対派に偏ると、政府不信に高まっていく。民主党や管総理はきらいだが、それ以上に「政府」と言うものが信じられなくなる。政府は情報を隠しているのではないか? 保身を優先して、対応が遅れているのではないか? マスコミはちゃんと切り込んでいるのか? 何人かは失脚するだろうけど、集合体としての「政府」は反省せず、何年かしたら同じことを繰り返すのではないか?

 政府が信じられないと、それを補強する意見ばかり読むようになる。すると、ますます政府不信に傾いていく。よくない傾向だが……不信感というのはなかなか払拭できない。
 私は原子力にも、官僚組織にも詳しくない。だから、なにがデマで、なにが真実かを見抜くのは難しい。と言うか、不可能だ。少なくとも現状、政府の発表は遅く、あいまいで、食い違いがあるから、信用できない。もはや安全宣言が出されても、易々とは信じられない。それが風評被害や復興の妨げになるとしても、疑わしいものは疑わしい。

 しかし政府不信も度が過ぎれば、陰謀論になってしまう。「政府は事実を隠してる」「マスゴミも世論を操作してる」「科学者も本当のことが言えない」「本当のことを言った科学者は変人扱いされる」「アメリカの圧力があった」「いや、フリーメーソンだ」
 ……これはこれでヤバイ。

 よく知らない分野を、度が過ぎないように疑うのは難しい。


<福島第1原発>東電、ベント着手遅れ 首相「おれが話す」
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