エリートパニックの恐怖

2011年 社会 原発 災害
エリートパニックの恐怖

 災害時にパニックを起こすのは民衆ではなく、エリート(指導者)なんだって。

 もちろん民衆も、知らないことや疑わしいことがあれば混乱するが、正しい情報があればあるほど冷静に、整然と動けるそうだ。

 よくディザスタームービーで、エリートが「この情報を世間に公表すれば、パニックになるぞ!」とのたまうけど、そうした隠蔽こそがパニックを引き起こす。緊急時、エリートは膨大な情報を与えられ、頭がパンクする。これを「エリートパニック」と呼ぶそうだ。
 エリートが、真にエリートたる処理能力をもっていれば、パニックは起こらないのだ。

 そうした目で見ると、政府発表はあまり適切でないように思える。
「健康に影響はないが、摂取は控えるように」
 とは、どういう意味か?
「積極的に自主避難することが望ましい」
 とは、政府は支援しないけど、自己責任で避難しろってことか?
 アメリカは「80キロ圏内から待避」と言うが、日本政府は否定も肯定もしていない。アメリカが過敏すぎるのか、日本が鈍感なのか? 海外メディアでは、「日本人は政府を信用しすぎる」とまで言われちゃってるぞ。

 25日の枝野長官の会見がおもしろかった。

──枝野幸男官房長官は「大丈夫」「安心」と言い続けてきたが訂正したらどうか?
「私のこの2週間の発言、記者会見の内容はすべてホームページで現時点でも公開している。私は今申し上げたようなことは、申し上げたことはないと思っている。その都度、あらゆる可能性や現状、その時点において『今、何をしなければならないか』ということについて、その時点における状況を踏まえながら、それぞれの時点における政府の判断を申し上げてきている。今、ご指摘いただいたような内容の発言はしていないと私は思っている」

──「人体に影響が出ることはない」と言ったが?
「その時点で出ているさまざまな状況からは、現時点で出ることではない。ただし、今後の見通しについて、私は断定的なことはこの間、申し上げてきていないし、現時点においても、今後の状況については、あらゆる可能性を想定して、今よりも当然、原発の状況が良くなることを期待して、その最大限の努力を政府としてもしているが、状況が悪化して必要があれば、そのことについての情報データの公開は常に続けるが、必要があれば、その指示を今後とも政府としてしっかりやっていく。こういう立場だ」

 意味がわからない。がんばってるのはわかるけど、ちょっと落ち着け。
 科学者が100%の正確さで断言できないのはわかるが、政治家なら安全か危険か宣言してほしい。テレビで科学者が「○×する必要はない」「△□しましょう」と説明するのは、立場が逆だよ。

 あいまいな表現は、危険と認識される。それを風評被害と言われても困る。
 風評被害の加害者は、ほかならぬエリートなのだから

屋内退避の住民、自主避難を~原子力安全委
https://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1547211&media_id=88