信さん・炭坑町のセレナーデ FORGET ME NOT / Shin-san Tankoumachi no serenade

2ツ星

ちぐはぐなノスタルジー

昭和30年代の情景は見事。最近の映像技術はすごい。また当時の世相も興味深い。「昔は良かった」と嘆息する人は多いけど、昔は昔で大変だった。小雪は背景になじまないが、大竹しのぶの説得力は強烈だった。
１つ１つのピースは素晴らしいが、１本の映画として見るとちぐはぐ。少年時代が長すぎるのだ。そのくせ信さんの内面描写が乏しい。朝鮮人親子はなんのために登場したのか。クライマックスの炭鉱事故も唐突な印象を拭えない。まぁ、事故は唐突に起こるものだが、なにがなんだか。

ノスタルジーを押しつけておきながら、ノスタルジーを否定している。鑑賞後は、現代に生まれてよかったと思うだけだった。