Coda コーダ あいのうた CODA

2021年 外国映画 4ツ星 ドラマ 家族 障害

「俺のために歌ってくれるか」

耳が聞こえない家族だが、両親は仲がよく、兄はたくましい。兄はけっこう社交的で、がんばっている。恋人ができたことで、ゆくゆくは父のようになるかもしれないが、明るい未来を感じさせる。

社会的に弱者であっても、悲観しない。言いなりにもならない。健常者の漁師たちより強い。事がうまく回れば、ほかの漁師たちのリーダーになるかもしれない。兄ならできそう。先行きは見えないが、明るい未来を感じさせる。このへんの塩梅もうまい。

はじめは自己中心的に見えた家族だが、そうじゃなかった。

健常者の暮らしは、ことさら対比で描かれない。そんな中、先生の言動は印象に残る。ルビーの家庭環境を理解しながら、特別扱いしない。それでいて見捨てない。
むろん、ルビーが歌手として大成する保証はない。それでも先生は、自分を試すべきと訴える。おそらく先生は、先生自身を救っているのだろう。その眼差しに震える。

「歌うときの気分は?」
「ファックできて光栄だ!」
「海で眺める星ほど煌めいていない。」

生まれついての不運、思い通りにならないことは、いくらもある。
でも世の中、捨てたもんじゃない。
明るい未来を感じさせる映画だった。

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