ファーザー The Father

2021年 外国映画 5ツ星 家族 病院 障害

最後に残るもの...

ストーリー

アンソニーは独り暮らしの80歳。娘はヘルパーを雇えと言うが、身の回りのことは自分でできる。しかし近ごろ、奇妙な食い違いが起こるようになった。話していた相手が変わったり、時間が飛んだり。なにが現実かわからなくなる。
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アンソニーは認知症が悪化して、病院に収容されていた。娘婿と思っていたのは主治医。娘夫婦は国外にいて、下の娘は死んでいる。アンソニーは看護婦に文句を言うが、母の名を呼び、泣いてしまう。

認知症を扱った映画はいくつか見たが、一人称視点を徹底した作品ははじめて。認知症の人が世界をどう見ているか、疑似体験できる。こわい。状況はなんとなく推察できるが、ハッキリしたことはわからない。

アンソニーは「おかしい」と気づいても、どういうことか確認せず、愛想笑いを浮かべて誤魔化す。そのうち、なにが「おかしい」だったか忘れてしまう。健常者もしてしまうことはあるが、アンソニーは度が過ぎている。リアル。おかしなことを言い出すのは前に、おかしなことを言えなくなる状態があるのか。

映画は、アンソニーが泣き出すところで終わる。お母さん。それが最後の拠り所か。この結末は、アンソニーの傲慢さが招いたことか。もっと寛大な性格だったなら・・・と、思わずにいられない。それで悲劇を回避できる保証はないとしても。

入院中、Gayoで視聴。
病棟にせん妄状態の患者が何人もいたから、猛烈に怖かった。

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