タバコを吸う夢
2005年 生活 タバコ 健康「あれ? 伊助さんて、禁煙やめたの?」
気がつくと、私はタバコを吸っていた。
(あッ、くそ! なんで?!)
いつの間にかタバコに火をつけていた。まったく気がつかなかった。
ふぅーと紫煙を吐いて、動揺を鎮める。
「まぁ、たまにはね……」
禁を破ってしまったことを悟られまいと、適当なことを言う。
もう一口だけ吸って、吸い殻を灰皿に押しつけた。
口の中に、ヤニの味が残る。
私はそれをコーヒーで洗い流した。
……といった内容の夢を、もう4~5回も見ている。
会議室で、映画館で、クルマの中で、友達の家で……。
どの夢でもタバコに火をつけるシーンは省略されている。誰かと話していて、気がつくともうタバコが口にあるのだ。回避しようがない。
──禁煙して508日目。
タバコに対する欲求は完全に消えた。
むしろ、タバコを忌避している。タバコを吸ってきたばかりの人が近づくと、つい顔をそむけてしまう。さらには、「かわいいな」と思う女の子がタバコを吸うところは見たくなかったりする。
とはいえ、固執するほど嫌ってはいない。
「タバコ、いいですか?」と問われて「いやだ」と答えたこともない。
タバコを無視できるようになった私。
にもかかわらず、夢の中ではうっかり吸ってしまう。
これはなぜだろう?
深層心理の奥底では、いまだタバコを求めているのだろうか?
◎
物の本によれば、タバコに薬理的な依存性はないそうだ。
しかし精神的な習慣性は強いため、身体は求めていなくとも吸ってしまう。確かに、喉が荒れて、吐き気がするのに、無理して吸っていた。
あれは肉体ではなく、精神がタバコを求めていた証拠かもしれない。
考えてみると、タバコを吸う夢を見るのは、昼の生活がストレスで苦しいときばかりのような気がする。ストレスを処理しきれなくなった精神は、その対処法を検索。「タバコを吸う」イメージがヒット。これを夢の中で展開している……のかもしれない。
だとすれば、人間の精神はよくできているなぁと思う。
タバコを吸う夢を見る。
だからといって、目覚めてタバコが恋しくなることもない。
「不思議だなぁ」とは思うが、夢そのものがストレスになることもない。
先日、同じく禁煙した友人2人に聞いてみたところ、2人とも「タバコを吸う夢」を見たことがあるという。
それで、この日記を書いてみた。
禁煙したのに「タバコを吸う夢」を見てしまう人よ。
心配することはない。
悔やむことも恥じることもない。
なんの根拠もないけどね。
ただ、これだけは言える。私も同じだ。