制限付き無礼講
2008年 社会 仕事先輩からこんな話を聞いた。
先輩が入社したばかりのころ、支店全体で飲み会が行われた。
そこで支店長は陽気に宣言した。
「今夜は無礼講だ。上下関係ナシで楽しもーう!」
すると若い社員が手を挙げた。
「それじゃ、言わせていただきますが、この会社は間違っていると思います」
空気をぶち壊す発言に、支店長が切れた。
「きみ! 無礼講でも言っていいことと悪いことがあるぞッ!」
怒りの矛先は係長に向けられた。係長は「部下の監督不行届」で厳重注意され、昇進の道が閉ざされたという。
先輩はその様子を、その他大勢として、黙って見ていたという。
◎
「その話の教訓はなんです?」
話を聞き終えて、私は先輩に尋ねた。先輩は4つ挙げた。
- 無礼講に制限付きにした支店長は横暴だ。
→しかしこのムラ社会では神様だから、逆らっても仕方がない。 - 無礼講を真に受けた若い社員はとても迷惑だ
→広い意味では正しいかもしれないが、それじゃ会社員はやっていけない。 - 部下の落ち度で詰め腹を切らされる係長はつらいよ。
→中間管理職は、責任をとるためにいる。 - 無礼講を信じず、なにも発言しなかったその他大勢は賢い。
→会社に無礼講など、あるわけがない。
その場は納得したけど、あとになって気になりはじめた。
この話には、もっと重大な教訓が隠されているような気がする。