働いたら負け……かも

2009年 政治・経済 社会
働いたら負け……かも

「働いたら負けかなと思ってる」は、ニート(24歳・男性)が残した名言。

さらに彼は、「今の自分は勝っていると思います」とつづけた。働かないことを美徳とする新境地は、多くの人に衝撃と感銘を与え、ニートを称して「勝ち組」と呼ぶ風習が生まれた。
まぁ、当時はニートを馬鹿にした意味合いが強かったと思う。

しかし今はどうだろう?
このあいだテレビでやっていた試算では、生活保護+児童扶養手当+児童手当で、月26万円の収入になるそうだ。
「(これっぽっちの手当じゃ)暮らしは大変です」
そういって受給者は母子加算の復活を訴えるけど、暮らしが大変なのはみんな同じ。日本中が不況に見舞われている現状では、どうにも違和感がある。かたわらで、月20万も稼げないワーキングプアが過労でぶっ倒れているのだから。
「働いたら負けかなと思ってる」は、冗談ではなくなってしまった。

日本航空(JAL)が経営危機に陥っている。つなぎ融資によって11月は乗り越えたが、これから先はわからない。経営再建の足を引っ張っているのが、企業年金問題。いま税金をつぎ込めば、大半は退職者の年金に消えてしまうから、納税者は納得しない。しかし退職者は年金を削られたくないから、必死に抵抗する。アメリカのGMと同じパターンだ。
どっちが悪いかはさておき、どうにもならない構図になっている。危機を乗り越えても、健全化はずーっと先だろうな。

来年1月で社会保険庁は解体され、日本年金機構が発足する。しかし懲戒処分歴がある300人の処遇をめぐり、政府内が揺れている。分限免職になれば、訴訟に発展するかもしれないため、政府は再就職先の確保に奔走している。懲戒処分歴のある300人が、イコール「消えた年金」などの問題を引き起こした犯人ではないが、甘い処分は看過できない。しかし彼らには法的特権と組織力があるから、その抵抗力は並じゃない。
こちらも、どうにもならない構図になっている。やれやれ。

いろんなニュースを見ていると、まじめに働くのは馬鹿らしくなってくる。今から公務員や大会社の正社員になるのは無理だから、ウマウマの生活は望めそうにない。どんなにがんばっても、あちら側の人を養うだけだとしたら、モチベーションは下がるよね。さらに昨今は弱者救済が手厚くなっているので、ますますモチベーションが下がる。

「働いたら負けかなと思ってる」

シャレにならん。