富豪刑事 (全10話) Fugoh Deka

2005年 日本ドラマ 3ツ星 コメディ 刑事・警察 推理

見事な様式美、蛇足なギャグ

あらすじ

事件発生→警察署内の内輪もめ→「あのー、ちょっとよろしいでしょうか?」→署長が賛成する→おじいさまが喜び、武勇伝を漏らす→美和子プランで捜査開始→行き詰まり→美和子が叱責される→名推理→「たった○億ぽっちのために人を殺すなんて」と説教→「では、失礼いたします」→お金が増えて、おじいさまが怒る→ED

同じパターンの繰り返しなんだけど、それがいい。来る、来る、来るぞと期待させ、予想どおりのセリフが飛び出す。中毒性があるよ。深田恭子の演技はひどいけど、富豪で天然というキャラクターに合っていた。ふつうに演技ができる女優に、このトボけた感じは出せないだろう。おじいさま(夏八木勲)もいいね。頭がいいけど馬鹿で、極悪人だけど善良。こういうキャラクターは大好き。
ベストエピソードは第4話「富豪刑事のキッドナップ」(原題:富豪刑事のスティング)。ラストでおじいさまが少年の意図を見抜くところがよかった。このエピソードによって、シリーズの価値がぐんと上がっている。

が、いいところばかりじゃない。本作の魅力は犯罪のトリックではなく、一般人が思いつかない金持ちの発想にある。再犯をうながすため競合企業をけしかけるとか、周辺ホテルを借り切って選択肢を奪うとか、前半は冴えていたのに、後半はがくっと失速する。原作にないオリジナルエピソードを仕掛けてこれじゃ、駄目じゃん。

富豪刑事は金銭感覚が世間とずれているだけで、決して馬鹿じゃないはず。有名ゲストを招いたり、深田恭子をコスプレさせたり、ラグビーの話のようなメタ的サービスを充実させるより、もっとシナリオで勝負してほしかった。

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