地球最后の日 / 地球最後の日 When Worlds Collide

1951年 外国映画 4ツ星 SF パニック 文明崩壊後

罪と罰と再生と。

ストーリー

2つの放浪惑星ベラスとザイラが地球に向かっている。激突による地球崩壊は避けられない。国連も一笑に付す中、大富豪が宇宙船の建造を始める。地球を捨て、放浪惑星に移住するためだった。ただし搭乗できるのは44名のみ。当然ながら暴動が起こる。


主人公デヴィッドは罪の意識から、新世界への旅立ちを拒否していた。しかし暴動の中で科学者と大富豪が取り残され、パイロットとして人々を導くことに。
ベラスは地球と衝突。宇宙船はザイラに不時着し、人類の新たな歴史がはじまった。

天体衝突パニック映画の元祖。ベラスは地球を破壊し、ザイラは地球の代替になる大きさだから、核兵器による破壊など考えられないが、それより「科学技術では退所不可能な大災害」、すなわち「神の裁き」であることが肝要だろう。
人類は罪深く、滅ぼされても仕方ない生き物だ。ただし選ばれた人々は新天新地で再スタートできる。「ノアの箱舟」を下敷きにしているが、つまり50年代は「現代社会は行き詰まっており、人間の力ではやり直せない」という空気があったのだろう。

主人公デヴィットは、主人公らしい活躍をしない。ほとんど傍観者。新天新地に行かないと言ってるが、「きっと最後は行くだろう」という空気をかもしているし、そのとおりになった。いっぽう、大富豪は取り残される。さらに乗客は全員白人種。この取捨選択に、観客の口にしづらい願いが反映されているんだろうな。

特撮はいかにもミニチュアだが、想像力を刺激する。83分と簡潔なのもいい。SF映画が好きな人は、見ておいて損はない名作である。


天体衝突
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