まだもう人生

2009年 哲学 日常
まだもう人生

もうまだなり、まだもうなり──

投資の格言として知られている言葉だ。すなわち、

もう底だと思ったら、まだ下がる。
まだ下がるだろうと思ったら、もう底を過ぎていた。

という意味だが、人生にも同じことが言える。

もう待てないと思ったら、まだ早かった。
まだやれると思っていたら、もう遅かった。

先日、L氏に子どもが産まれた。
めでたいことだが、同時にL氏の夢も潰えた。数年前、L氏はこう考えていた。
「うちは子どもがいないから、湘南あたりに引っ越して、サーフィンしながら暮らそうかな」
実現可能なプランだったが、実行するのはためらわれた。するうち子どもが産まれ、趣味三昧では暮らせなくなった。思い立ったときに行動していれば、この数年間は楽しめただろう。
まだやれると思っていたら、もう遅かった。

L氏の知人に、若くして結婚・出産・離婚した女性がいる。
働きながら子どもを育てるのは大変だったが、今は娘さんも成人し、年の離れた姉妹のような関係になっているとか。これから育児に突入するL氏には、なんだか羨ましい気もする。しかし彼女に言わせると、逆らしい。
「20代は子育てに追われて、ぜんぜん遊べなかった。この出遅れは大きい」
気兼ねなく遊んだ人にはわからない口惜しさがあるらしい。
もう待てないと思ったら、まだ早かった。

もちろん逆も成り立つ。
L氏にしても、その女性にしても、もう終わったのではなく、まだチャンスはあるかもしれない。ただ人間は、自分が選ばなかった方に未練を残す。「隣の芝は青い」というヤツだ。

自分自身についても、いろいろ考える。
(すでに実行した)アレは、早すぎた? 遅すぎた?
(まだ実行してない)アレは、まだ間に合う? もう駄目?

人生のタイミングに正解はないんだろうな。

関連エントリー