やんわり殺気だったスーパー

2011年 社会 スーパーにて 災害
やんわり殺気だったスーパー

 買い出しに行ったら、スーパーはやんわり殺気だっていた。

 うちは地震発生前に買い物してたから、食料は十分にある。しかし明日から輪番停電するかもしれないから、カップラーメンでも買おうかと、軽い気持ちでスーパーに出かけたのさ。今日は空が青くて、道すがら犬の散歩をしてる人や、ジョギングする人たちとすれちがった。いつもと変わらない、のどかな日曜日だ
 しかしスーパーはやんわり殺気立っていた。カップラーメンのコーナーは空っぽ。レトルト、冷凍食品、納豆、食パンなどもほぼ売り切れ。すさまじい。おそらく、昨日のうちに売れちゃったのだろう。昨日はずっと家にいたので、すっかり出遅れてしまった。

 客1人あたりの買い物量が尋常じゃない。牛乳4本とか、お米10kg×2とか、トイレットペーパー18本セット×3とか、カートにあふれんばかりに商品を積んでいる。
 みんながセカセカ買い物してると、自分も買い物しなくちゃいけない気分になる。そうだ。早く買わないとなくなっちゃう。しかし冷蔵庫がいっぱいなのを思い出して、踏みとどまる。いかん。影響されまくってる。

 備えあれば憂いなし──と言うが、むやみに備える必要はない。とはいえ、明日、なにが起こるかわからない。もし電気が止まったら、もし水道が止まったら、もしガスが、もし物流が、もし道路が、もし……。考えるとキリがないから、いろんな備えがほしくなる。歯止めが効かない。
 被災地から遠く離れた東京でも、このくらいの不安はある。次の瞬間、ドーンとゆれて、すべて崩れてしまうかもしれない。そんなことを考えてしまう。被災された方々の心中察するにあまりある。

 そうめんや歯磨き粉、切れていた蛍光灯などを買って家に帰る。
 ふたたび空の青さ、のんびりした風景に戸惑いを覚える。

 目に見えるものはいつもと変わらないのに……。

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